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何故。逝くのですか。

ほら、次々に倒れていく。サメラの言葉と同時に、魔物は地に伏せ、鼾をかいた。

「三番目の奇術師-Maniac Reprica-と呼ばれるキャラバンなだけにな。」

種も仕掛けもございません。サメラは皮肉げに笑って空いた両手をひらひらさせて、何も無いような素振りをした。

無から有を作っていく。それがもしかすると魔術師と言われる由縁なのかもしれない。

「後はお前だけだ。マラコーダ」

尻尾を撒いて逃げるのか?と聞けばマラコーダは苦虫を噛み潰したような表情をして、逃げるように消えた。

「今回はそちらに勝ちを譲ろう。次、会う時は武神事変-Satellight Reacter-を……!」

勝手にしろ。小さく毒を吐いて、サメラは荷物から万能薬を取り出した。が、サメラ自身魔法を使えた事を思い出し、慌ててエスナを唱え利き手を振り上げると、ちいさな輪が仲間を包んで、状態を改善させる。
こうして仲間の異常を確認して、サメラは視線を落とした。

「サメラ。」
「……今晩はひとりで居させてくれ。」

おぼつかない足取りでキャラバンのテントから出て行った。

嗚呼、何故。逝くのですか。

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あきゅろす。
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