オゲンキデシタカ
「…………たぶん、ここが。地底の民云々だったはずの町だ。」
……賑やかだな。ぼつりと漏らして、サメラは視線を泳がせた。
前に来た時は、静かな町だったのに。何があった?眉根を寄せて、考えている。
「サメラ。」
「嫌な気がするから、忙しい。」
「サメラ、聞ぃとるのか!!」
「忙しいから放って……い、いま…今。」
誰の声だ?静かな銀に動揺が伺える。
視線は向かって斜め下に逃げ泳ぐし、顔色は少々悪い気がする。
「腹が痛いから飛空挺で」
「サメラ!!」
「あ……いや。……幻聴が聞こえる。」
乾いた笑いを浮かべ、街中を抜けようとした刹那、サメラの体が浮いた。 どうやら、首根を掴み上げられ身動きが取れないみたいだ。
「サメラ、無視か?」
「あ、……う。オゲンキデシタカ。」
半ば諦めたような魚の目で、無抵抗に棒読みで台詞を吐いた。いつものキツい蒼も覇気がない。
「サメラ、その方は?」
「キャラバン、三番目の奇術師-Maniac Reprica-の団長。」
骨格がいい大きな男は、豪快に笑いながら自らをルドルフだと名乗った。
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