余計に酔うわよ
朝にバロンを出立して飛空挺に乗り込む。…のが間違いだったのか。と静かにサメラは自問自答した。
「……うぷっ」
今まで、どれだけ荒れていた海の日に船に乗れども、酔いはしなかったのに…丈夫さが自慢だと言った昔が懐かしい。
昔を懐かしみながら、飛空挺のへりに捕まって腰を下ろす。
「サメラ、大丈夫?」
「平気だ。…なぁ、ローザ。レビデトって」
「そしたら余計に酔うわよ。サメラ」
いや、じゃあ遠慮する。小さく首を横に振ってから、視線を下に下ろす。海はそろそろ陸になりトロイアが近い事を示しているのが、すこし嬉しかった。
「ねぇ、この間のゾットの塔の……」
「あぁ、武神事変-Satellit Reacter- の話か?」
酔いを紛らわすためのローザなりの気の使い方に感謝しながらサメラは勲章みたいな字-azana-を思い出した。
付いても付かなくても、どちらでもいいものだ。
「傭兵をしてたんだ。町から町に流れ着いて土地土地に住まう魔物を退治して生計を立てたんだ。」
倒す魔物は、弱いやつだからな。流れ着いて先で二三ヵ月住んで、次の町をしていた。
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