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さっきから何度も呼んでいるだろうが

紙質を見ると、所々裂けて、破れてひしゃげているのは恐らく長い旅で苦楽を共にしてきたのだろう。と思う。
黒と白、銀に金。それから緑。ファブールの攻防戦の時の様なイメージを受けた。
暗黒騎士と白魔道師、大刀使いに吟遊詩人と召喚師だろうか。記憶の引き出しを探して予想をたてる。

「おい!」

女にしたら抑揚もない淡々とした声が背後から掛って驚いた。

「何を動揺してる。さっきから何度も呼んでいるだろうが龍騎士」
「あぁ、すまない大刀使い。」
「残念ながら私は一応薬師だ。」
「そうか。」
「そうだ。……ところで、探しモノを…!」
「これか?」

提示をすれば返せと手が伸びる。すかさず、ひょいと手が上に上がって、サメラの手には収まらない。

「お前!」

セシルやローザよりも小さな身長が故に、カインを見上げる形となる。
またサメラが手を伸ばそうとするとカインは真上に手を上げる。

「大切なモノだから返せ!」

ジャンプして、取り返そうとすれども、カインが長身すぎて、サメラが小さすぎて、取る事が出来ない。

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