「……ごめんなさい。」
時刻は夜中に近いが故に静かで遠くでひっそりと鳥が鳴いている。視線を前に向けると、木製の扉が行く手を遮る。押しても引いても駄目なのは、ガチャガチャと主張する錠。
「……ごめんなさい。」
そこに膝をついて、座り込む形を取る。あぁもうなんだかグルグルと詫びる様な言葉が、頭の中を巡る。
側で見ることが出来なくて。
あんまり話せなくて。
弱い私で。
ぽたりと頬を伝う。
何が何かわからなけれども。
双子は昔から知ってる仲。
故に、余計にそうだったのかもしれない。
これだけ、思い入れてるのか。と、痛感した。
「泣いてるのか?」
「…!」
ふいにかかる、聞き覚えのある優しいような怖い声に身を固めた。聞き覚えのある優しいような怖い声に。
未だにまともに言葉を交した事のない仲間、のカインだと、判断した。
「な、泣いてなんかない。」
「ならどうしてそんなに焦る必要がある。サメラ」
「名乗った覚えはない。龍騎士。。」
噛みつくように、切り返せば龍騎士は確にな。と漏らしてクツクツ笑う。
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