ミスリルの拘束具。
「セシル!す、すまん。俺は…、なんということを」
……なんとなく時間がかかりそうだな。昼のメロドラマを連想させた。…なんというか、恋人を巡っての修羅場と言うか…。
視線を反らして、ふとそう思ったが口に出せる空気でないから黙る事にして、会話に耳を済ます。
「操られていたんだ…仕方ないさ。」
「しかし…意識はあったのだ。俺はローザを…」
「!!…ローザは!?」
……声の突拍子の表れは存在を忘れていた。と言うことで捉えていいのだろうか。
「この上だ!時間がない!」
「なら先に行く。」
時間稼ぎぐらいならしてやる。急いで来ればいい。
地を踏み込んで、矢の様に走る。
龍騎士を追い抜いて、一つ目の扉を破る様に開け二つ目も蹴る。金属製らしき扉は歪み拉げ、少し間が空いた。
その間に指を滑らせて懇親の力でレール滑らせた。
「サメラ?」
「時間稼ぎだ、すまない。スロウ!」
ぼんやりと鈍色に光を放ち、魔法がかかった事を確認する。時間が来れば自ずとローザの頭上にあるギロチンが落ちる仕組みだな。と理解しローザの拘束具を取り外しを試みる。
…ゴルベーザめ、ミスリルの拘束具を使いやがって。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!