そこにある色彩がない違和感。
背中を強く打った所為で、まともに呼吸が出来ない。肺がまともに機能していない。
そこにセシルが飛んで来て、新たな圧を感じてから意識が飛んだ。
……サメラ。
と名前を呼ぶのは優しい声で。意識がハッキリしてきて瞼を開ける。
「…ん?」
「大丈夫か?」
「テラは…」
静かに目を開けて、そこにある色彩がない違和感。少しの間だけを連れ添った仲間の色がないのはこれだけ寂しい事だと理解した。
沈黙が答えだ。視線を落とした。
「怪我は大丈夫か?」
「大丈夫だ、圧迫で、呼吸が出来なかっただけだ。」
銀の髪をゆるやかにしならせて、立ち上がる。すこし、フラフラするような気がするが、そんな言葉をかまいやしない。
「セシル、拾っていくか?」
セシルがいう親友殿を指させば、はにかんでうつ向く。……見てる方が恥ずかしくなるから笑うな。
「サッサと起こしにいくか。」
行くぞ。セシルの腕を付かんで、青の鎧の元に行く。
「カイン…!カイン!」
意識を取り戻して、すたりと起き長いブロンドの髪を払い除ける。…このあいだ言っていた事が初めて理解出来た。
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