朝が来る。
地平線の向こうから、朝日が差す。出る瞬間を見届けて、手の中にある温い珈琲を胃の中に流し込んでから、火の始末をする。
靄が出てきたな、なんて、サメラはぼんやり考える。
「おはよう、サメラ。」
「おはよう、ローザ。」
「火の番をしてたの?」
「あぁ、昔を思い出したら眠れなくなったから、ついでに。」
ついでに。って、ふふ。と笑うローザを見て、釣られたかのようにサメラも笑う。
「朝飯の支度をする。」
「手伝うわサメラ。」
「助かる。…とりあえず、町の野菜を拝借して来るから、それからになる。ローザ、必要なモノはあるか。」
「特にないわ。」
じゃあ、行って来る。
厚着をして、カチャカチャと甲冑を鳴らして、靄掛かる町に歩いて行くのを、見送った。
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