サイハテ
09
混みあってもいなければガラ空きでもない車内には、爽やかな夏の風が舞い込む。
カタカタ……
揺れる小刻みな振動は、心地よいけれど、いつかの日にリンクして胸がわずかに軋んだ。
「……」
「……」
オレたちは言葉を交わすこともなく、隣り合って座っている。
目蓋が重くて、頭がぼうっとする。
「…眠いのか?」
「ん……、ちょっと」
「寝てろ」
頭をゆるく持たれて、そのまま横に倒される。
コツっとした骨の感じがして――
サスケの肩に凭れるように、
「さす……」
「いいから、寝てろよ」
「……」
こんなの、オカシイよ。
周りのひとたち、きっと変に思っちゃうよ…
ねぇサスケ――…
「ごちゃごちゃうっせぇな、――このうすらとんかちが」
穏やかな声が耳もとに降りて、――おおきな手が視界を遮った。
「ほら、誰もみてない」
だから、着くまで寝てろ。
「……っ」
オレは、サスケの手のひらが濡れるのも構わず、泣いた。
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