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サイハテ
06


「ナルトくん〜、ちょっといい?」

「……ん」

一口含んだパンをごくりと飲み込んで見上げると、クラスの女子がにこにこと笑いながら立っていた。


……またこの子か。


クラスでも、美人だと評判だけど、異性との交遊関係はだらしなくて、軽々しくても有名だ。

それは、話しててもわかる。

「……なに」

「こないだから頼んでるんだけどさっ、サスケくん紹介してよ〜!」


――以前から何度も「紹介して」と頼み込んでくる彼女。

サスケに好意を寄せていることを、弟のオレに相談してくる女子は多いけど、この子はしつこい。


「ねぇお願いったら。」

「……」


格好よくて頭もよくて運動もできてなにもかもが完璧なサスケ。

でも、あの人は、オレの……



「……でも…サスケは、彼女つくらないと思うってばよ」

「えーっそんなのわかんないじゃない!」

長くて手入れのされた髪を鋤きながら、彼女は否定的な声をあげた。

「サスケくん、もしかしたらわたしのこと気に入ってくれるかもしれないし」


自信満々に微笑む様子に、胸からムカムカとしたなにかが込み上げてくるようだった。

うるさい

サスケはオレの……


「ちょっとでいいから紹介してよ……弟なんでしょ?」

「……っ」

「お願い!わたしサスケくんのことが好きなの」



――サァッと手足から血の気が引いた。



"好き?"



ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!


他人だからって

兄弟じゃないからって

女の子だからって!


「……嫌」


そんな簡単に"好き"だなんて言うな


「え?」

「…教えない」


震える手を押さえつけて、オレは彼女をにらみあげた。


「あんたみたいな軽いやつに、サスケのことは紹介してやんない!」

「……なっ」


あの人のことは何一つ教えてやらないから。


「ちょっ、ナルト…!」


となりで弁当を食べてたクラスメイトが慌てたような声を上げるけど、オレは振り切るように教室を飛び出た。



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