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サイハテ
05


「いってきまーすっ」

今日もギリギリに起きて、朝ごはんを大急ぎで喉に詰め込みながら駅へとダッシュする。



ぎゅうぎゅう、なんかの缶詰めかってほどにごった返す車内でオレはふうと息をつく。


「えぇーもう別れたのぉ?」

横に並ぶ他校生の、甲高い笑い声が耳の間近で響いた。

「そーそー。だって私服とかめちゃくちゃダサいんだってぇ。なんか一気に冷めたしー」

「マジでー?」



……うっさい。

キャハハと可笑しそうに笑う声がうっとうしい。


イヤホンをはめて、ウォークマンの音量を上げた。


黙って窓の外を眺める。



朝の光…

まぶしい、…


あーこれから、一日が始まるんだな…


「……、」


そんなことをぼんやり思っていたら、ヴヴヴ…と慣れた振動がポケットから伝わってきた。

入学以来使ってる、鮮やかなオレンジ色の携帯を開く。


メール新着1件

『おはよ。ちゃんと起きれたか?』


文面をみて、思わず頬が緩みそうになる。

いつもいつも同じ内容のメールを、サスケはくれる。

『おはよ!ちゃんと起きれたよ』


オレも同じ文字を返す。


『そうか』

『うん』

『痴漢には気をつけろよ』

『オレにそんなんするの、サスケくらいだって』

『オレはいいんだよ』

『なんだそれ!』


――まったくもう、飽きもしないで、よくやるよなぁ。

はは。



生徒会の朝会があるからと一緒に行けないために、くれるメール。


『おまえ生徒会長だろ!朝会んときメールなんかしてていいのかよー』

『イマサラだな』

『そーだけど』


たしかにイマサラだけどさ。
まじめに仕事しろよな、まったく…


『はいはい。』



「――上野、上野です。ご乗車……」


アナウンスの声に、ハッと顔をあげる。

いつの間にか女子高生たちはいなくなっていて、オレはあわてて駅に降りたった。









遅刻寸前に教室へ駆け込むと、クラス中はいまだ騒がしかった。


「おー、ナルトおはー」

「今日もギリセーフだね」

「ははっ、オハヨー」



サスケは…とっくに生徒会が終わって教室で着席していることだろう。

途中で止まったままのメールは、授業中にでも返そう…


…いつもと変わらない。

穏やかな時間だ――




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あきゅろす。
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