[携帯モード] [URL送信]

最果て
07 離(サスケside)


読んでいた本から壁掛け時計に目を遣ると、針は正午をさしている。

ひどく喉が乾いていることを思い出して、リビングへと向かった。

ミネラルウォーターをボトルままがぶ飲みして、息をつく。
ダイニングテーブルには、ふたりぶんの食事がラップをかけられて置かれたままだった。

俺の好きなオムライスと苺、ない頭でバランスを考えたのか、キャベツのサラダ。


「……」


ぼんやりと、ひどいことをしたな、と思う。


掴まれた裾に、上から己の手を重ねる。

思い出されるのは、傷だらけの細い指。


『お、おれ…がんばって作ったんだよ…』


母さんのエプロンを纏って、捲り上げた部分から覗く白い腕――


それだけでも、ひどく欲情するというのに。


一緒に、ふたりだけの空間に居ることなんて出来るわけがない。

早く離れてしまいたくて。


だから、

『…うぜえ』


――あのときの、悲しそうに見開かれた瞳。
優しいナルトには、きっとそれは残酷なことだった。

思い出して、胸が傷んだ。



「――…」


だから俺は――




*back*next

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!