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最果て
11 月光(ナルトside)


夢を見たんだ――…

視界がぼやけていて、おぼつかない感覚。
リアルなようでいて、そうじゃないヴィジョン。


そんな中で、笑う兄の姿があった。


『ばあか。お前はんとにドジだな』


そう言って、片手を差し出される。わからないまま、右手を伸ばしていた。


『ほら、さっさとウチにかえんぞ』


優しくて穏やかな声が、俺を捕まえる。


『母さんと父さんが待ってる。今日の晩飯はオムライスだってさ』


うん、サスケ、オムライス好きだもんね。


高校のブレザーを着たサスケが、俺の手をぎゅうと握ってる。

昔みたいに、自然と――



「…さすけ……」


繋いだ手が、じんわりと暖かくて……

ずいぶんと感じていなかったそのぬくもり。

しあわせだな―――





「…………」



ゆめ…かぁ。

だんだんと現に戻ってくるのがわかった。


あの独特の浮遊感……と、違和感――?




「……んっ」

息がしにくい。

柔らかい感触。

熱い温度…?


なんだ、とうつらうつらしながら、目が覚める―――



「――ん……っ!?」



唇を、塞がれていた。




―――な、に?


目の前には、漆黒があった。
夜空よりずっと深い黒は、夢の中の人と同じ色。




「ん゙っ……う、」


サスケ―――?


それが彼だと理解するのは、ひどく難解なことだった。




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あきゅろす。
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