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Novel
視界ノ中ニ君ヲ探ス 沖田→神楽
沖→神


やっと大型台風が過ぎて晴れた日だった


「土方さん…まだ…見つかんないんですかィ…?」

「…あぁ」


腕と脚を組みタバコを吸いながら静かに答えた

俺の耳に入った時にはもう遅かったのかもしれない


「アイツ…どこほっつき歩いてんだよ…ッ」


台風と一緒に…風のように消えてしまった小さな姿
いつも近くにいたはずなのに


「まだ決着ついてないじゃねェかよ…」


雨は止んだはずなのに水滴が地面に堕ちた


「…よぉ沖田くん」

「…旦那」


呼ばれて顔を上げると銀色の髪が視界に入る
こちらに軽く右手をふっていた


「大丈夫か?」

「…余裕でさぁ…」

「強がりだなぁ…」


頭に重みを感じる
軽く笑いながら頭を撫でられていた


「大丈夫だろ…神楽なら」

「…わかってまさァ…」

「そか……」


下唇を噛みながら硬く手を握る


「…たぶん兄貴に連れてかれたんだと思う」

「兄貴…?」

「とりあえず…すぐに戻ってくるから」

「ハイ…」


ずっと一緒に居た自分のほうが苦しいはずなのに…
笑いながら励ましてくれる優しさに余計視界が悪くなっていった





『早く私を捕まえないと居なくなっちゃうかもしれないョ?』

「…バカチャイナ」


笑顔で最後に言われた言葉とどうしようも出来ない気持ちだけ残して消えたやつが居ないとき愚痴るのはどうかと思うけど…


(会ったら真っ先に言ってやる)


だから…









視界ノ中ニ君ヲ探ス










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