氷の心と焔となる者 062 「…雲雀。」 やっと見つけた雲雀は人気も全く無いただ、鳥のさえずりだけが響く場所に居た。 長く、長くただ続く階段の一番下に座って居た。 ただ、そこに立っている真っ赤な鳥居の真下に。 「……秋月。」 なんで此処に?という視線を悠李に向ける。 「ちょっと、な。あぁ、そうだ。前言ってた買い物、付き合ってくれないか?」 さっきまで話していた事を話すのには、少々時間がかかる。 だから悠李は後に回そう、と決め、言葉を濁した。 「僕と君で?」 立ち上がり、服をただして短くそうたずねる。 「?あぁ。そうだけど…。悪いか?」 「………別に。じゃあ行くよ。」 そう言って、フードをかぶり、手を差し出す雲雀。 「……?」 小さく小首を傾げる悠李。 「……はぁ。」 その様子を見て、雲雀は小さく眉間にしわを寄せ、溜め息をつく。 その後、自分の手を伸ばし、悠李の手を握る。 「…っ!?」 その突然の出来事に悠李は小さくその漆黒の瞳を丸め、驚く。 「……こうでもしないと、君、はぐれそうだしね。」 そう言って、小さく微笑む雲雀。 「……俺はガキ扱いか。」 ぼそっと雲雀から顔を逸らし、悠李は呟く。 その顔は赤色に染まっていて、その顔を隠そうと長袖の服で隠れている手で鼻までを覆う。 それでも耳も少し見える頬も赤くて、照れていることが丸わかりだった。 その姿を見て、雲雀が満足したのは言うまでも無かった。 _ [*前へ][次へ#] |