氷の心と焔となる者 045 あれから近くのレストランで食事をすることになったのだが、そこは普通のレストランとは言いがたい場所だった。 「…あの…悠李さん…」 悠李の隣で、少し顔を青ざめた綱吉が声をかける。 「どうした?」 普通に水を飲む悠李。 「……あの…俺が知ってるレストランって、こんな部屋別だったりしないんですが…。」 きょろきょろと辺りを見渡して訊ねる綱吉。 そして、一行が来た部屋は、和式で、宴会が普通に出来るのではないのかというぐらいの広さだった。 「…ふむ…まぁ、普通とは違うかもな。」 そう言って、メニューに手を伸ばす悠李。 「ほら。お前らもメニューを取れ。」 そう言ってなかば強引に各自にメニューを渡す。 「ほら。雲雀。」 少し離れた場所で水を飲む雲雀に悠李はメニューを渡す。 「………ん。」 小さく頷いて、雲雀はメニューを受け取った。 そしてその直後だった。 「ええぇえぇ!!!?」 綱吉が青ざめた顔で叫ぶ。 「…綱吉?」 そう綱吉の元に戻りながら、訊ねる悠李。 そんな悠李を見ながら、綱吉は必死に告げる。 「な、何これ!!!値段が全部高いよ!!」 高いって…ってつぶやきながら、どれ?と悠李は見る。 これ!!と綱吉が指差すところに記載された金額は、1品約1000円〜3000円となっていた。 「……普通じゃないか?というか、それは安いほうで、ほら、こっち。こっちは1品5000円〜だぞ。」 普通に説明をする悠李に、綱吉はあんぐりとする。 「…ごめん…一般市民の俺には…こんな高いものは見るのも初めてで…」 「ふむ……まぁ、金銭的には大丈夫だから好きなように食え。ここは美味いから。」 「…………でも…何か本当に申し訳ないよ…。」 「食わなかったら絶交だ。」 ピシッとその場に居た骸と獄寺までもが綱吉と共に固まる。 「……わ、わかった…。」 そして、各自注文して、食事を済ませた。 _ [*前へ][次へ#] |