原作編 標的8(今更だけどこのシリーズ山→ツナ寄りの設定) 屋上ダイブのあの日から、オレらはどんどんぐんぐん仲良くなった。 元々オレは人見知りしないタイプだし、最近知ったことがひとつ。 ツナは優しい。 すげー優しくて、一緒にいると楽しんだ。 今朝もツナを見つけてあいさつして小突いてやって。 そんな毎日がすんげたのしくってよ、 オレ、死ななくて良かったな、なんて今じゃそう思ってる。 「さんきゅーな、ツナ」 オレが呟くと、 「え?オレ何かした?」 「その、なんだ…。 あ、ツナってさ、オレと喋るときいっつも見上げてくれんじゃん?なんか話きいてもらってるーって感じがして嬉しいぜ!」 とっさの誤魔化し。 「なっ…それってチビだって言いたいんだろっ」 あちゃー、誤解まねいちまった。 「ちげーって!わり、この通り!!!」 ぱん、と目の前で手を会わせて謝罪する。 だって、ツナはきっと許してくれる。そーゆーとこ、すげー、って思う。 「もー、しかたないなぁ…。しかも、それ言ったら山本の方こそ」 「?」 「きついだろうに、オレと目合わせて喋るためにかがんでくれるだろ。」 「…あ、そうだっけか?はは、お互い様なのなーオレら」 「ははっ、ほんとだ」 ――ドクン。 何故だか、胸がはねる。 ツナがそれは嬉しそうに笑うもんだから、ついつい見とれてしまって。 綺麗だなって、純粋に思った。 え?綺麗? 相手は男だぞ? ………。 ま、気のせいだ気のせい。 「山本?どうしたんだよ、急に黙っちゃって」 首をかしげるツナ。 「へっ?あ、いや…。うん、なんでもねー」 ははは、とからりと笑って見せると、またツナも笑った。 「あはは、へんな山本ー」 放課後。 こないだうちの学校にきた帰国子女?みたいな、なんかよくわかんねーけど獄寺っつーやつ(男なのになんで子女ってんだろ?)に捕まって、ガンつけられた。 カルシウム不足だと思って牛乳を勧めていたらそこへツナ登場。 なーんかよくわかんねーけど、ツナの連れのガキにマフィアごっこの試験に誘われて。 部活いかなきゃって思ったけどまぁしゃーねぇな。 なんつーか、ツナの前でいいとこ見せたかった。 …にしても。 「フーッ、こいつぁなめてっと合格できねーな」 すげー遊び。 ツナの回りには楽しさが溢れてらー。 「ははは」 「山本なに笑ってんの!?!?」 「っつーか獄寺参戦してね?」 「10代目!!! (よけてくださいね!)」 「へ?」 「おいおい…!」 やばいんじゃね? ロケットやら花火やらミサイルやら。 このままじゃツナが…っ 「ツナっっっ」 オレは横で足がすくんでうごけない状態のツナを引っ張る。 …やっと、つかまえた。 屋上ダイブの時には、抱き寄せられなかったこの身体。 ドガァン!!!!! 「ぎゃあぁぁぁ!!!」 すさまじい爆破音の中、オレはツナから身体を話し、肩をかした。 「ふー、あぶねーあぶねー」 「や、山本のおかげで助かった…」 とりあえず、ツナ助けられて良かった。 ホッとしたと同時に、先程まで触れ合っていた熱と、恐怖ですがるように見上げたツナの瞳が脳裏に蘇って、疲労とはちがうような鼓動を感じる。 なんだ、このどきどき… 「試験合格だ。おまえも正式にファミリーだぞ」 「あ、小僧。サンキュー」 まぁツナとそばにいられるならいんじゃね?オレ。 一件落着、としようと思ったら獄寺がズンズンと歩み寄ってきた。 「よくやった」 「!」 「10代目を守ったんだ、ファミリーと認めねーわけにはいかねぇ」 なんだこいつ、自分もツナを危険な目に合わせたくせに。 「でも10代目の右腕はオレだからな。おまえはけんこー骨だ」 「け…ケンコー骨!?」 気に入らねーやつ。 オレなら、ツナを危険な目になんかあわせねぇよ。 「前から思ってたけど獄寺って面白ぇ奴な!」 ははは、と笑って見せるけど、 「だがツナの右腕を譲る気はないね おまえは耳たぶってことで」 「んなぁ!?」 どこかでツナが驚き叫んだがそんなん関係ない。 だってオレもう、ツナにハマっちまった。 「んだとコラァ?てめーは鼻毛だ!」 獄寺。 お前とはライバルとして仲良くさせてもらおーじゃねーか。 野球以外でこんなに生き生きとした気持ちは初めてだ。 「んじゃ部活いくわ」 よっしゃ。やってやろーじゃんよ。 [*前へ] [戻る] |