原作編 標的1(序章なんでまだ山ツナじゃないですが。) 部室に弁当を忘れたので,取りに行った帰りだった。 「竹刀と防具にはウェイトを…」 「いいか?何があっても赤旗はあげんな?でなきゃ…」 体育館の裏で,何やらこそこそとミーティングをしている奴らがいた。興味がなかったんでシカトし気付かれないように通り過ぎたが,あまりあーゆうのは好まない。 だって,竹刀と防具って…剣道部の奴らだろ? 競技において正々堂々と戦わないスポーツマンなど。 「痛い目みせてやりたくなんのなー…」 つぶやきが校舎にとけた。 「山本ー,お前も来いよ!」 昼飯を食おうとしていたら,ダチの池田が駆け寄って来た。 「あ?何が」 「今からさぁ,ダメツナと持田先輩の決闘が始まるんだってよ!!な,おもしろそーじゃね?」 「いやー,それ真剣勝負だろ?おもしろがるもんじゃねーよ」 「んなことどうでもいいんだって!ホラ早く!!」 「ぅおッ,っと!おい池田ひっぱんな…」 そうして連れてこられた体育館。 見ると,持田先輩は既に準備万端で,やる気も重々だった。 と,そこに。 「おっ,ダメツナのお出ましだぞー!!!!」 嫌々担がれてきた沢田綱吉。 かわいそーに…と俺は苦笑。 みんなはそちらに気をとられ,はやし立てたり口笛を吹いたりしていたが, 俺はふと何気なく持田先輩の方を見た。 すると,先輩はいやらしくニヤリと笑っていて。 先輩の目線は審判の方に向いていた。 審判も,同じようにニヤリと――… 『竹刀と防具に…』 『赤旗は…』 あいつ,何が何でも勝つ気だ…! 沢田が危ない。 何されるか分かったもんじゃねーぞ…。 「む,沢田は?」 「トイレにいきたいと言ったので行かせました」 「逃げたな,あいつトイレ逃走多いから…」 あぁ,そっちのが利口かも。 下手にボコボコにされるよりは―… 「うぉおおおおっ!!…いざ!勝負!!!」 …しかし,沢田は逃げていなかった。 俺は驚いて目を見開いた。 何で戻ってきたんだ…?何で,何の為に…?何でだ…? 「100本!!!とったーっ!!」 俺が驚いているうちに事は進んでいて,気付いたら周りは爆笑の渦だった。 「全部本!!」 「…あ,赤!」 …持田先輩はハゲになっていた。 わーっ,と歓声が起こる。 みんなの中心は沢田綱吉。 沢田は,自分でも驚いたような,しかし嬉しそうな顔をしていた。 持田先輩は泣きながら気絶してた。 ざまーみろ。 スポーツマンシップに乗っ取って正々堂々たたかわねーからだ。 「ね,そういえば山本くん聞いた?昨日ダメツナ京子に告ったんだって!しかも下着一枚で!!変態だよねー!「…ダメツナって言うなよ」 俺は即座に答えた。 怖い顔をしていたのか,言われた女子はビクッとした。 「あー,ホラ持田先輩に勝ったじゃんか。もうダメツナじゃなくねぇ?」 俺は持ち前の笑顔に戻って軽く言った。 「そ,そうだね!」 ダメツナ,なんて言われたかねーよ。 だって たった今俺が,赤マルチェックしたやつだもんな。 [次へ#] [戻る] |