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アーユーマイン?
12

バスケで一連の騒動があったが、冷やしていたお陰か特に頭の痛みが長引くことも無く、普通に授業に出た後帰ることが出来た。

次の日、教室に入った瞬間…斉藤と目がばっちり合った。斉藤とは、昨日俺にボールをパスしてくれた奴。まあ俺がドジすぎてあんな結果になったけど。

「斉藤、おはよー」
「あ…、おはよ」

斉藤の奴、なんか今日すげえテンション低くね?なんかキョドってるし…いつもはうぜえくらい元気なのにさ。

「お前今日静かだな」
「奏太、あのさ……!」

視線を泳がせたまま何か言おうとした斉藤が、ある一点…というより俺の背後に目を止めた瞬間、目を見開いて凍り付いた。それはどこか脅えた様な目で、俺は益々疑問に思う。

「綾瀬…」
「おはよう、斉藤」

ごくり、と斉藤が唾を飲む音が聞こえた。振り向いて見上げた咲人は相変わらずいつも通りの美しい笑顔。対照的に、酷く緊張した様子の斉藤。俺は眉間に皺を寄せた。


「なに、お前ら何かあったわけ?」
「んー?べっつにー」


追及する前に、ふああ、と欠伸しながら席に着いた咲人は睡眠し始めてしまう。ちらりと斉藤を見ると、苦笑いを浮かべていた。

「奏太…お前も大変だよな」
「なにが?」

斉藤が小さな声で言った台詞の意味が理解できなくて聞き返したが、ふるふると首を振って斉藤も自分の席に着いてしまったので結局聞けずじまいに終わったのだった。


そんな朝の違和感はすっかり忘れかけていた放課後、咲人が後ろの席の俺を振り向いて話し掛ける。

「そうだ、忘れてた。今日委員会あんだよね」
「そうなの?何時終わり?」

咲人は以前クラスで委員会決めをしている時ジャンケンに負けて行事委員をやらされていた。

「5時くらいかな…教室で待ってて?」
「え。先帰りてえー…」
「もう薄暗いんだから、駄目。すぐ終わらすから待ってて」
「だからお前は母親かって…まあいいや、別に用事ねえし待っててやるよ」

ありがと!と抱き付いてくる咲人を軽くあしらい、委員会へ行くのを見送った。しばらく暇なので音楽を聞いていた時、教室の前方の扉が開いて、知らない女の子が入ってきた。何やらこっちを見ているので、イヤホンを耳から外して声を掛ける。ネクタイを見る限りどうやら一年らしい。

「どうしたの?」
「あ…あの…」
「ああ、咲人なら今委員会だけど」

女の子がクラスに訪ねてくるのはほとんど咲人目当てだからそう言ったら、女の子は首を左右に振った。

「三葉、奏太くん…ちょっと、来てください」

え?

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