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アーユーマイン?
10

咲人はそのままHRをすっ飛ばして一時間目の数学の直前に戻って来た。

「保健室でも行ってたの?」
「まあ、そんなとこ」

相変わらず授業中咲人は寝ている。途中先生が咲人を指名して、のろりと顔を上げる咲人。全く授業を聞いてなかったくせに、すらすらと黒板に計算式を書く。うーん、流石だ。ちょっと間違えるの期待してたんだけどなあ。
隙のないやつってこういう奴のこと言うんだろう。とりあえず、そんな咲人を見て沢山の女子がうっとりとしたため息を吐いてるのは気に食わん。
あ。また寝たよあいつ、ちょっとくらい起きろよな。

「…で、計算式はこうなるから答えは、三葉、答えてくれ」

げ!!当てられた!やばい、咲人に気取られてて全然聞いてなかったよ。どうしよう。

「えっとー…」

しどろもどろになりながら、すがる思いで咲人を見ると、なんとあいつは起きていた。

「±√3」
咲人が小声で教えてくれた。

「ぷ…±√3?」
「うん、正解」

うわあああ!ありがとう咲人!
ノートの端っこを小さく破いて、“さんきゅ!”と書いて丸めて投げたら、同じ様に丸めた紙が返ってきた。

“俺は奏太の物だからね”

「こら」
「イテっ」

ぱかん、と先生に教科書で頭を叩かれた。咲人はニヤリと笑って再び机に突っ伏す。コノヤロウ。

無事に数学を乗り越えて迎えた、みんな大好き体育。ジャージに着替えて俺と咲人と瑞希と体育館へ。

「今日体育何かなー」
得意なやつだったら良いなと思い呟く。

「バスケじゃなかった?活躍して女の子のハートを掴んでやるっ」
「ガンバレー」
意気込む瑞希に対し、咲人さん物凄く棒読みです。

「咲ちゃんヒドイ!」
「わ」

慰めて、と瑞希に抱き付かれ頬擦りされる。咲人が「うざっ」と呟いて俺らを引き離す。

うーん…今日も平和だ。


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