[携帯モード] [URL送信]

長編小説
双子

「レーン?レーーン!!どこにいるのよ!」
…姉のリンが俺の名前を呼んでいる。
本当は行かないといけない。だけども…
「カイトさん!もう行かないといけないんですけど!」
「平気だよ。それにしても、本当にレンは温かいね」
俺を後ろから抱きしめているカイトさんのせいで行くに行けない。

俺の姉、リンはこの黄色の国の次期王女。
そして俺はリンの双子の弟、レン。仕事は…メイド。
この屋敷は男子禁制。成人になっていない男は入れない。母さんに「なぜ男は入ってはいけないのか?」と聞いたことはあった。けどもはぐらかされて未だ分からない。俺はリンを守りたかったから、無理やり頼んで、結局メイドとして働くことになった。
俺が男というのは極わずかな人間しか知らない。
カイトさんはリンの婚約者。隣の国の王子だ。俺がちょっとヘマをして、ばれてしまった。
母さんは怖い笑顔をカイトさんに向けて「今からでも住まない?」と言ったらしい。カイトさんは訳が分からない、という様子で受け入れた…らしい。

「カイトさん!本当に終わらせてください!そうしないとリンに…「レーーーン!!どこにいるのよ!早く出てきなさい!!」
「……さすがに大変そうだね」
カイトさんはそういった後、俺を(ようやく)解放してくれた。
俺が走ってリンのところに向かおうとした時。
「レン。走るとスカートの中、見えちゃうよ?…あ、白」
俺はあわててスカートを押さえた。
「…カイトさんの馬鹿ぁ!」
……後で穿き替えておこう。
「あはは、可愛いなぁ」
カイトさんの無邪気な笑顔を見てる暇などなく、俺は走ってリンのところに向かった。
「レーーン、見えてるよ〜」
もう気にしないでおこう。

「レン!遅いわよ、もう!」
「ぅう…ごめんなさい」
立場が違うから人前では敬語を使わないといけない。
双子の姉に向かって敬語を使うのは、すごくもどかしい。
「…で、何の御用ですか?」
「ん?決まってるじゃない」
リンはそう言った後、自分のドレスをレンに突き出した。
「あたしの代わりに舞踏会に行ってきてね☆」


[次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!