長編小説 始まり 2 「結構です」 鏡音君はすぐに断った。この子は本当に… 「…随分ハッキリ言う子だなぁ」 「…はぁ??」 鏡音君から怒りのこもった声がした。まぁ…そうだよな…。つい、心の声が出ちゃったんだ。 「…先生??」 さっきより怒りがある。マンガだと額に怒りマークが出ているだろう…。 「ぁ…うん。ごめん。ごめん、鏡音レン君」 鏡音君…謝ってるからその握っている拳をなんとかしてください。…やっぱり僕等、立場が逆転してるな。 「と、とりあえず行くよ鏡音レン君」 「…チッ」 また舌打ちをした鏡音君。でもちゃんと僕の後ろについて来ている。ヤバい…可愛い。このまま連れて帰りたい…。おっと、危ない危ない…。このままじゃ誘拐犯になるところだった…。金は…いらないけど。 僕は鏡音君をカウンセリングルームに連れていった。(他に空いている教室が無かったんだ…) 「ねぇ鏡音レン君??」 「…レン」 さっきまで全く喋らなかった鏡音君が突然喋った。 「…へ??」 僕は訳がわからずついついポカーンと口を開ける。 「…"鏡音"じゃなくて"レン"でいいです…鏡音は…嫌…です」 つまり鏡…レン君は名字でなく、名前で呼んで欲しいんだ。 「あ、うん。それじゃあレン君」 「何ですか??」 ちゃんと話してくれるようになった…。良かった〜!! 「何で先生の話しを聞かなかったの??」 「……」 答えづらいのか??レン君はすぐには話してくれなかった。 「…家に」 …へ??家??レン君のだよね?? 「家に来たらわかりますよ…カイト先生」 よ、呼んでくれたぁ〜〜!!先生って呼んでくれた!!…てかどういう意味??おっと!!仕事、仕事!! 「それってどういう意味なの??レン君」 「そのままの意味です」 レン君はスラッと話した。…話すの早過ぎないかな?? [*前へ][次へ#] |