007
「ありたっけのカメラを買ってぇ、檸檬隊長の行く先々に設置するんですぅー。隊長の凛々しいお姿をいつでも見守れるように。録画とかしちゃってぇ、隊長の行動に一つひとつ悶えたいィ。ミレイユ、考えただけでワックワクドッキンドッキンしちゃいますぅー」
「フウム、ミレイユくんそれはアレだよ。俗に言う…」
「変態ね」
「変態だな」
「というか…犯罪では?」
「ミレイユの辞書に変態と犯罪と不可能っていう文字は無いんですぅー」
とんでもないことを口にしたミレイユに、菊代は呆れて言葉も出ません。そこでミレイユの夫、ネイリーにもしも大金が入ったらどうするのか問いました。
彼はフッと真紅の薔薇を取り出して、ご自慢の犬歯をキランと輝かせます。
「やはりここは、世界中の女性に薔薇をプレゼントするべく大きな大きな薔薇園を作ります。いや、ここはファンの為に僕のブロマイドを作る手もあるな。そう世の女性は皆、僕のようなカッコイイ吸血鬼を必要としているから! 女性だけではない、男性だって僕を必要としているだろう! 僕はカッコイイから!」
「檸檬隊長のブロマイドなら是非と欲しいですけどぉー…」
「てか、野郎のブロマイドなんざいらねぇー」
「自分の容姿をあそこまで自信を持って言えるって凄いわね」
「……ナルシスト」
「諸君、ブロマイドが欲しいならばいつでも僕に言ってきてくれたまえ! サイン付きでプレゼントするぞ」
ナルシストならではの発言に、菊代は色んな意味呆気に取られました。
誰もナルシスト馬鹿のブロマイドなんて欲しいとは、
「ヤァアアアアン! ネイリーッ、ジェラールにちょーだい!」
………。
司会席から黄色い悲鳴。
どうやら吸血鬼のブロマイドを、約一名欲しがる人物がいたようです。約一名のファン(?)によって、彼の発言は無駄にはならなかったことは言うまでもありません。
さて菊代は溜息をつきながら思いました。この夫婦に財産を託してもロクなことに使わない、と。
ではもう一組の夫婦はどうでしょうか?菊代はラーラと雅陽に同じ質問をぶつけました。
「服…かしら。それともエステ?」
「酒代にあてる」
聞いた自分が馬鹿だったと菊代は思いました。
これはもう、フェリーの返答に期待するしかありません。菊代は彼に同じ質問をぶつけます。すると彼は一つ首を傾げ、間を置いて答えました。
「老後の為の…貯金?」
1番まとも且つ1番シケた返答に、菊代はどうリアクションをすれば良いか分かりませんでした。
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