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002


「おい、眼鏡」

「スミマセンが眼鏡は眼鏡屋さんにありますよ? 眼鏡欲しいならどうぞ、眼鏡屋さんに行って下さいませ。では、お邪魔しました!」


誰が眼鏡だよ!

ったく、知らん。もうあんなガキ知らん。

ドスンドスンと足音を鳴らして思い切りドアを開けた。

部屋を出て階段を下りる。
一段下りる度にドスンと足音が鳴り響く。俊太はどうでもいいけど、俊太の両親には悪い気がした。

デキるだけ、音を鳴らさないように階段を下りる。
 

「待てよ! めが…森!」

「何!」


振り返れば、部屋から出て来たクソ生意気なガキ1匹。じゃなかった1人。

 
「さっきの…その、どういう」

「そのまんまだって! ウザイあたしはどっか行きます! それに新しい恋探しをしますので、今まであたしの青春を奪ってくれてありがとうございました!」

「何で逆ギレ気味なんだよ……」


「いいの! 逆ギレしたいし!」


俊太を好きになったのはあたしの勝手だけど、今までの俊太との思い出。
 
良い思い出あったかと聞かれると、圧倒的に悪い思い出しか……ええい、忘れろ森舞子。


これはこれでジ・エンドなんだ。

汚いスニーカーを履いてあたしは「さよなら」と怒鳴り、俊太の家を出て行った。




それからのあたし。

いつもだったら、俊太と一緒に帰りたいが為に中学校まで迎えに行って(今考えれば強引だったかも)一緒に帰ってたけどそれをしなくなった。
 
電話とか掛けていたけどモチロンしなくなったし、メールもヤメた。

どうせ電話しても「あっそ」「へえ」「で?」の返事だけだし、メールは返ってくる方が稀だったし。向こうも清々しただろうし。


あーまったく。
少しぐらい、優しくしてくれても良かったのにな。


どうやって知り合ったかは忘れちゃったけど、結構本気で中学生に恋した高校生という恥、乗り越えてアタックしたのになあ。
 
あたしの青春、無駄になったなあ。新しい青春が見つかるとイイな。



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