007
「へ?」視線を流されたココロは間の抜けた声を出してぽかーん顔を作った。
ちょ、日賀野の相手をココロにさせると?! ヨウの役を引いちまったココロにさせると?! それは彼氏である俺が、あー、今はモトの立場だけど、でもでもでもやっぱ許せないわけでして!
焦燥感を抱く俺に対し、ココロは何を思ったのかあーとか、うーとか唸った後に、「ミジンコは失礼なのです!」と果敢にも反論した。んで俺の背後まで立って、人を盾にしながら一言。
「し、失礼を言う、日賀野さんの……ぺ、ぺ、ペイペイ。一昨日きやがれです」
「……ぺいぺい?」
ぶはっ!
その場にいた荒川チームの誰もが噴き出した。
ひ、日賀野の困惑しきった顔をはじめて見たんだけど! 頑張ってヨウを演じているココロの頑張りにも大爆笑だ。ほんっと、どこでもノリ良くするもんじゃないよ! やっべ、死にそう。「ご、ごめんなさい」ココロは俺の背中にぎゅーっと張り付いたまま動かないし。
はてさて唖然としているのは宿敵日賀野チームだ。
なにがどうなってワタルさんがおどおどと挙動不審になり、ヨウが口論できず、ココロが代行役として反論したのかワケが分からないらしい。
そりゃそうだ。
向こうはゲーム内容のことを知らないんだから。このゲームの一番の犠牲者は最後の最後で日賀野チームだったに違いない。数秒後に日賀野が大爆笑しているヨウにブチギレするんだけど、それは伏せておくことにしよう。
なお、ゲームの内容を知った日賀野チームが仕返しとして、俺達がこのゲームの存在を忘れた頃に同じことをして、度肝を抜かせてくれたのは近未来の話だったりする。ははっ、まったく平和なこったい。
Fin.
高校生らしい荒川チームのやり取りを書きたかったので^^*
彼等は、喧嘩と不良を抜かせば周囲と変わらないただの高校生です。
2012.08.09
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