003
「き…、聞いてくださいよケイさん。今日も喧嘩したくてしょーがないのに相手がチョー弱くってですね! やる前に逃げちゃったんですよー。私の腕に恐れをなしているんでしょうか! まったく弱いヤツなんてペイペイです! へっ、弱いヤツペイペイ!」
「(ペイペイっ?!)さ、さすがですココロさん! そんな貴方はいつもにも増して一段とカッコイイ! ペイペイ、素晴らしい表現ですね!」
「顔も腕も私に敵うものはいないのですね! いるならかかってこいです!」
「(わ、笑いそう)もちですココロさん! 貴方は世界で一番の不良! キャー! 素敵! 俺、一弟分として今日も誇らしいです!」
「よっしゃ、今日も私について来いなのです!」
「(もう少しだけ持て、俺!)何処までもお供しますココロさん! 俺、貴方のためなら例え火の中水の中ゲームだって我慢できます!」
「ぶわっはっはっは! これは酷いぴょん!」
バンバンと地面を叩いて大爆笑するワタルさん達の傍で、俺も腹を抱えて笑う。
「が。頑張ったんですよ!」ココロがわたわたと必死に訴えるけど、いや、これはツボる。誰の真似をしているか分かっているからこそ、腹筋がどうにかなってしまいそうだ。俺の演技力以上に素晴らしい演技力を見せてくれたココロは、似てませんでしたか? とあたふた。
で、真似された本人はというと。
「ちょ。ココロ! それって俺の真似だろ! そ、そんなにナルシーか俺?! ペイペイなんて使ったことないぜ!」
はい、正解は俺の兄貴でした!
似てる似てると口を揃える俺達に対し、「そこまでナルシーじゃねえよ!」ヨウが激しくツッコんでいる。
ついでにモトが「ケイ! オレ、もっと上品にヨウさんを褒めてるだろ!」と異議申し立てをしてきた。
あんれー、そうだっけー? お前に上品ってあったっけ?
俺的には120満点な演技力だったと思うんだけどな。
耳の穴に指を突っ込んで素知らぬ顔をする俺に、「アンタ覚えとけよ!」キィキィとモトが喚いていた。いやいやいや、お前っていつもこんな感じだよ。まだソフトな方だと思うんだけどな。
さあて一番手の俺とココロが終わってしまうと(いやぁ。緊張した)、お次は二番手で負けた弥生とキヨタ。
二人ずつした方が効率が良いと踏んだんだ。漫才もできるしな。
中身を開封した二人はこれまた変顔を作って一唸り。んでもって二人の中身を見合って、ザ・漫才ターイムパート2!
「あのね。私、すーっごくヘタレで押しが弱くて何をするにもダメダメなの。どうすればいいのかな? す、好きな人を押し倒す勇気もないなんて。グズッ、好きな人の前だと泣きそうだよ。えーん。もういい、私なんて押し倒されるしかないんだ!」
「そうなんっスか。ヘタレガンバっスよ! 俺っちはおなか減ったっス! 超ねむーいっス!」
「ヘタレなんてペイペイだよ!」
「ごはーんまーだっスか?」
分かりやすく且つ、なんて似ていない演技なんだ!
ヘタレに嘆いているハジメが何処にいるよ! 聞いたこともないぞ! 全部自分の要求じゃないか、弥生さん。
んでもってキヨタ、元気ハツラツな副リーダーなんて副リーダーじゃないって! もっと眠そうに、トロそうな口調じゃないと!
あーあーあー、シズとハジメがめっちゃ顔を顰めちゃって。
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