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007


 
 「どっちだと思います?」俺は通り過ぎた不良達に振り返ってクエッション。

 どうやら怨まれているみたいだけど、俺関連か、それとも蓮さん関連か。


「さあな。俺かもしんねぇ。結構この辺りで和彦さんに連れられて喧嘩していたし」

「いやぁ、俺かもしれませんよ。ヨウの喧嘩スキーは隣町の境も飛び越えちゃうんで」

「てか一々憶えてないよな。舎兄があっちこっち喧嘩に手ぇ出すし」

「それなんですよ! おかげで俺、逆恨みばっかり…、アウチ、なんで俺の舎兄って思いつき行動が多いんだろう」
 
「そーそー。昨日喧嘩したかと思ったら、今日も喧嘩、明日も喧嘩に手ぇ出してそうで怖いなぁ。二代目舎弟の桔平がさ、『どんだけ喧嘩するんだ。あの人!』って嘆いていたくらいなんだぜ? まだそうやって嘆ける分はマシだよな?」

「桔平さん、若いですね。慣れてくると、『今日は何しようかな。喧嘩は念頭に置いておかないとな』ってなりますよね。喧嘩が日常の一部になる、みたいな?」

「まさしくそれだそれ! 気持ち的には熟年夫婦だよな? 喧嘩しても驚かなくなるっつーの? 逆にないと、『あ。調子でも悪いのか?』って心配になるし」


「なりますなります。舎兄の扱いにプロってますね、俺達」

「嫌でもなるだろ? じゃないと舎弟なんてやってらんねぇ」

 
 同じ舎弟の立ち位置にいる俺と蓮さんは揃って笑声を上げた。
 舎弟だからこそ言える、お互いの本音。それが楽しくてしょうがない。

 「飛ばすぜ」喧嘩売られちゃ折角の気分が台無しだし、蓮さんの言葉に俺は相槌を打った。
 今日は喧嘩も何もかも忘れたいんだ。だから神様、不良難に苛んでいる俺を加護してくれよ。今日は不良とのお付き合いを蓮さんだけにとどめたい。とどめたいから。




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