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二人乗りのランデブー


 

【03/ケイside】


 なんてこったいベイビー。
 
 
 まさか俺ともあろう人間が、不良の漕いでいるチャリの後ろに乗る羽目になるなんて! 俺という人間はな、不良をチャリの後ろに乗せてパシリくんの如くチャリのペダルを漕いでいる方がお似合いなんだぞ。なのに、なんで俺、蓮さんの運転するチャリに乗っているんだろう。
 苦い顔を作って唸る俺に、「さあて」何処行きたい? 蓮さんがちょいと後ろを向いて視線を投げてくる。
 
 お前が勝ったんだから、ちゃんと行きたい場所を決めろよ。
 ニヤニヤ笑ってくる蓮さんに、また一つ呻いた俺は「行きたいところって言っても」なにも考えてなかったもんな、小さく吐息をつく。
  
 適当にチャリを漕いでいる蓮さんは、「早くしろって」と目的地を催促。

 意地悪いですねぇ、蓮さんも。

 
「んじゃあ、そこのコンビニに寄って下さい。喉渇きました、俺」

「はい嘘。交代させる口実だろ?」


 ………、蓮さん、調子ノリのノリに乗ってくださいよ。真面目に俺は困っているのに。
 ぶすくれる俺は行きたい場所を思案。

 そもそも、なんで俺が今日、一人旅を思い立ったか。
 
 それは久々に悪夢を見たせいだ。日賀野にフルボッコされる悪夢、いやキャツにフルボッコされた後の悪夢をエンドレスで見た。

 俺が弱かったばかりにヨウ達を裏切りそうになったというあの悪夢を。
 今でもあの時のことを思い出すと胸が張り裂けそう。自分の不甲斐なさや絶望感、無力感に駆られてしまう。生々しい夢、裏切ったあの日の夢を見たせいか、俺は今日に限ってヨウ達の傍にいたくないと強く思ったんだ。


 俺なんかが傍にいてもいいのか、そんなことをうんぬんうんぬん。


 分かってはいるんだ、ヨウ達があの日の事を責めていないことくらい。


 これは俺自身の問題だ。


 そういや蓮さんはなんで一人で街をうろついていたんだろう? もしかして俺と同じ理由だったりして。
 俺の知らない土地まで、俺のことを知らない土地まで、遠出しよう。なーんて青春くさいことを思ってたりして。




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