009
「ココロがそう思うなら、頑張ってみたらいいと思う。折角そんな風に思えるようになったんだ」
その気持ちは大切だと思うしさ…、俺も頑張ってみるよ。
フラれるって分かっていても、どーせ地味だからとか平凡だからとか無理だからとか、そういった逃げを口にするのはヤメて、自分の気持ち、相手に伝えようと頑張ってみるから。ココロも頑張れよ。
声援を送ってくれるケイさんに、切ないながらも笑顔が零れた。
ケイさん、私、頑張ります。
ちゃんと勇気を持てたら、貴方に気持ち、伝えてみるから…、だから。
「ココロなら気持ち、伝えられるよ。ヨウに伝えてみろって気持ち」
「はい、ケイさんも頑張って下さい。弥生ちゃんへの告白」
言えた、ケイさんにちゃんと応援できた。
ニコニコッと笑顔を零す私とケイさん、このまま和気藹々と倉庫に戻…、って、え、今、ケイさん、なんて言ったの? ヨウさんに気持ち? ヨウさん、ヨウさん、ヨウさん? えええっ、ヨウさんって何ですかケイさん?!!
カッチーンと固まる私達だったけど、タンマタンマタンマとケイさんが素っ頓狂な声を上げた。
「お、おお俺が弥生をっ…、な、何言ってるんだよ! 俺の好きな人っ、弥生じゃないって! ココロのお馬鹿!」
お、お馬鹿って…、じゃなくって! ケイさんだって大概で酷いですよ!
「ケイさんだってそうじゃないですかぁああ! ケイさん、っ、まだ誤解してたんですか! 私、ヨウさんに対しては憧れしか抱いてないって言ったじゃないですか! 違うって言ったじゃないですかー!」
ケイさんの馬鹿! 私は大反論をした。
「馬鹿じゃないから、俺!」ケイさんも猛反論の猛攻撃。
「お、おお俺だって弥生が好きとか、一言も言ってないんだけど! 弥生にはハジメいるしさ! 傍から見たかんじ、二人って相思相愛だし、俺の入るところないし! 好きとか思ったこともないし!」
嘘だ、絶対嘘だっ。
あんなに弥生ちゃんと仲良くしてたくせにっ。ケイさんは知らないんだっ、それで一憂していた私のことなんてっ。
「だってケイさん、弥生ちゃんと凄く仲が良いから! とても羨ましいと思うくらいにっ」
「それだったらココロ、ヨウを見るときの目、すげぇ優しそうだぞ! すっごく嫉妬するんだからな」
男の子と、こんなにも言い合いをしたことあったっけ? ううん、なかったよね。
初めてだ、こんなに言い合いするの。
ぜぇぜぇっ、二呼吸ぐらい置いて私達は取り敢えず視線を逸らして感情整理。
ケイさんは嘘吐きだ。今更弥生ちゃんが好きじゃないとかっ、私、沢山見てきたのに。弥生ちゃんと楽しそうに笑っている姿、積極的に話す姿に、それから、それから。
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