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07-06


ったくもう、ヨウ信者って揃いも揃って面倒な奴等バッカだな。

どーせこの後、ヨウ信者はこういうに違いない。お前なんてヨウの舎弟に不釣合いだ! ってな。

分かっているんだよ、そういうことを言われるのは。
ヨウ信者のモトで十二分にそれは分かったんだし。

きっとあいつも、 


「地味だけどヨウさんが認めた舎弟。ヨウさんの後継者。うーん……ヨウさん、俺っち、貴方の舎弟さんと勝負してみたいっス」


そうそう。勝負を申し込んでくるんだよな。
 
ウ信者ってこういうところがあるから面倒――はい? へい、ボーイ。今なんて言った? 今、俺と勝負してみたいとかほざいたような。

「ケイと勝負?」

「はいヨウさん、是非舎弟さんと勝負してみたいっス。ヨウさんが認めた舎弟さんってどれほどものなのか、自分の目で見てみたいんっス!」

キヨタは元気よく頷いて構えを取った。 

え、マジで? マジで言っているのそれ? 無理だぞ。俺ぁは無理だぞ。

勝負が始まった瞬間、勝負が決まっちまうじゃないか! 瞬殺されるって! 俺を病院送りにでもしたいのか? あいつ。

目を点にする俺に対し、「ガンバ」ハジメは同情を込めて肩に手を置いてきた。その手を掴んでハジメに縋る。

「ハジメー! 俺を見捨てないでくれよー! 俺達、喧嘩できない同盟の同士だろ! 俺だけ先に逝っちまってもいいのか?!」

「あー……僕達、いつ同盟を組んだっけ。いや喧嘩できないのは認めるけど…、ほら、ケイ。ヨウが呼んでる」

ハジメが前方を指差す。

ぎこちなく振り返れば、ヨウがちょいちょいと手招き。隣でキヨタが爛々目を輝かせて俺を待ち構えている。ははっ、やる気満々だな、おい。

「ケイ早く来いって」

舎兄が急かすから、俺は泣く泣く重い腰を上げる。

勿論喧嘩をするつもりはないよ。
取り敢えず、向こうに行くだけで喧嘩なんて真っ平ごめんだ。あーあ、モトも面倒なヤツを引っ張ってきたな。

キヨタは散々人のことを貶していたわりに一応、目上に対して礼儀を弁えているのか、「どもっス」俺に会釈してきた。

会釈を返した俺は、開口一番に喧嘩は無理だと答えた。

「へ?」間の抜けた顔を作るキヨタは、何を言っているんだとばかりに目を丸くする。
ポリポリと頬を掻いて俺は正直に、喧嘩ができないことを告白した。寧ろ喧嘩の場面では足手纏いになっていることも説明。

ヨウも俺の説明に加担した。

「ケイは喧嘩からっきしなんだ。ワリィけど手合わせは遠慮してくれねぇか?」

「エエっ?! 喧嘩できないっスか! じゃあ何で、ヨウさんの舎弟なんっスかぁあああ! 俺っち、ヨウさんの舎弟は絶対、モトだって思っていましたよ! モト、それなりに喧嘩できますし! ヨウさんをいっつも追い駆けてるじゃないっスか!」

「お、おい……キヨタ」

別にいいんだとモトはキヨタを宥める、けど、興奮が増す一方なのかキヨタの喚きは止まらない。

「だってそうじゃないか! お前の方が舎弟っぽいのにっ、こんな取り得もなさそうな男に座を取られちまって! 悔しくないのかよ!」

なんでこんな地味男がヨウの舎弟なのだと、キヨタはヤンヤンギャンギャン喚く。

呆気に取られているのは俺とヨウ。
別に俺自身は舎弟に相応しくないと言われ慣れ続けてるからいいけど……ここまで露骨にヤンギャンと言われるのも初めてで。

落ち込みや怒りを通り越して呆気に取られる。すげぇなキヨタ。 

モトは友達の言葉に言葉を詰まらせている様子だ。

「ヨウさんが決めたことだし」

何処となく悔しそうな、寂しそうな、そんな顔を作るモトにキヨタはすかさず言う。モトが舎弟になれよ、候補しろよ、と。

「な、なんてこと言うんだよ!」

キヨタの大問題発言に、モトは首を横に振って無理だと断言。

「俺っち知っているんだぞ」

キヨタは真顔でモトを見据えていた。


「お前が陰で努力していることを。俺っち、お前のそんな姿知っているからお前を推すんだ。まだ会って間もないけど、俺っち、お前の方が相応しいと思う。確かケイさんでしたっスよね。部外者の俺っちが言うのもなんですけど、悪いとも思いますっスけど、俺っち、貴方をヨウさんの舎弟だなんて認めません。モトを全力で推しますっス!」


なんか、キヨタって嵐のように人間関係を掻き乱すヤツだけど、友達想いだし、それなりに的も射ているよな。

俺自身も思っている。
喧嘩のできない俺より、喧嘩ができている上にヨウを尊敬しているモトの方が相応しいことを。俺には大層な力がない。

ヨウだって分かっていると思う。

はっきり言って足手纏いだ。それも自覚はしている。しているんだけど。

俺とヨウは約束を交わしているんだ。いけるところまでいこうって。成り行きで舎兄弟になった俺等だけど、このままでいくって約束しちまったから。


「き、キヨタ」


モトは、別にいいんだとしきりに首を横に振っていた。

これはヨウが決めたことだから自分はどうこう言うつもりはない。
確かに不満その他諸々はあるけど、自分が口を出すことじゃないからって。そう言うモトの顔はすんげぇ暗かった。


モト……やっぱお前、ヨウの舎弟になりたかったんじゃ。


お前、何だかんだ言ってもヨウのことを尊敬しているもんな。

初対面なんて俺を試すかの如く喧嘩を売ってきたしな。

あれ以降から、喧嘩は売られていないし、それなりに仲良く(って言っていいのか?)もしてくれているけど、モトの心の何処かでは……キヨタはモトの態度に憮然とした。



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あきゅろす。
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