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06-13



不良の二人が楽しめるような物なんて俺の部屋には無い。

そう思ったけど二人は意外にも持っているCDや漫画、ゲームなんかに興味を示した。

特にゲームには大きく興味を示したから、二人のために俺はゲームをセットした。

三人で出来るような格闘ゲームを選んでプレイしてみれば二人はすぐに熱中した。

一応、これでもゲームの持ち主だから何度やっても俺が勝ってしまったり、なんだけど、二人はそれなりに楽しんでくれた。


それどころか、


「ケイ、お前強過ぎだろ! もっかいだもっかい。勝ち逃げは許さねぇ!」

「……次は勝つ」 


これだもんな! しつけぇよ二人とも! 熱中しすぎだろ! 

心中でツッコミながら、俺は不良達と何度も何度も勝負する羽目になった。

二人とも普段はあんまりテレビゲームをしないみたいだから、やっぱり俺が勝っちまう。それでも諦めない、二人のその根性には感服した。マジで。

その内、シズが腹減ったと持参している間食用菓子を食べ始めたから、合間あいまに菓子が食べれる格闘ゲームじゃない、もっと穏やかなすごろくゲームへ。

これならゲームが下手くそでも大丈夫だろうと思ったし、ミニゲームも豊富だから楽しめると思ったんだ。

案の定、ゲームをしない二人には格闘ゲームよりウケが良くて、しかも自分も勝てるようなミニゲームばっかりだから一層楽しんでくれた。
純粋に楽しんでくれてるみたいで俺も嬉しかった。

そんなこんなで時間を過ごしていたら、母さんがやって来て十時過ぎたから風呂に入るようにと指示された。

お客さんからということでシズから風呂に入ってもらうことになる。一旦、部屋から出て二人に風呂の使い方を教えてた後、俺とヨウは部屋に。シズは風呂に入ってもらう。
その間、俺とヨウはゲームを中断してCDを流しながら駄弁っていた。


「五木もよく泊まりに来るんだろ? ケイの家」

「来る来る。よく来るぜ。第二の我が家になりつつある、ってあいつ言ってた」


そんだけ利二は家に泊まりに来る。

二人みたいに家庭事情が複雑ってワケじゃないけど家が窮屈なんだって、あいつ自身が言っていた。

「俺もなりそうだな」

冗談交じりに言うヨウに、俺は笑声を漏らした。

「なっちまったら苗字、田山にしちゃえよ。田山庸一。違和感はねぇって」

「ははっ、それもいいかもな」

バタバタバタバタ。
ヨウと楽しく談笑していたら、廊下からドデカイ足音。

まさかと思うけど……嫌な予感を抱いた瞬間、勢いよく襖が開いた。

そこには予想したとおり、俺の弟がゲーム機片手に部屋に上がり込んできた。テレビを観終わったのか、目をらんらんと輝かせてゲーム機を翳す。

「兄ちゃん、ボスステージの攻略! ボスまで行って! ……あれ? 静馬兄ちゃんは?」

襖を閉めた浩介は俺にゲーム機を渡しながらシズの姿を探す。
浩介が不良にびびってないのは俺の友達だから……だろう。普段だったら不良を見た時点で浩介は逃げ出している。

でも俺の友達だから臆した様子はない。
それどころか構ってもらおうと素振りを見せてくる。

利二がよく相手をしてくれるからな、構ってもらえるのが当たり前って思っているんだろうな。ボスまで行ってやったら、すぐに出てってもらうつもりだったんだけど、俺がゲームをしてやっている間、浩介は積極的にヨウに話し掛け始めた。

ヨウも人は好い、鬱陶しい素振りを見せることなく相手をしてくれる。


すっかりヨウをお気に召したようで浩介はシズが戻って来ると人懐っこく構ってかまってと態度で示す。

これまたシズも人が好いから鬱陶しい素振りを見せることなく相手をしてくれる。

間食用お菓子を浩介に見せて、「食べるか?」なんて気遣ってくれる始末。我が弟のことながら非常に申し訳ない。申し訳なさ過ぎる。

シズが浩介を相手をしてくれている間、ヨウは風呂へ、俺は浩介のためにボスステージをしてやる。

ヨウが風呂から戻って来た頃には浩介の待ち望んでいたボスまで辿り着けたから、俺はゲーム機を浩介に渡してやった。

目を輝かせて浩介はそれを受け取ると、後は部屋でやると自分から言ってきてくれた。



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あきゅろす。
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