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06-09




「テメェ等は俺等をマジにさせるために、ずっと挑発してきた。そう解釈するぜ?」

「勝手にしろ。どう思われようが、テメェ等の存在は目障りだ。潰してやるよ、荒川」

「そのまんま返す。今までいいようにテメェ等の手の平で踊らされたが、俺等だってもう我慢なんねぇよ。ヤマト」

今度はこっちから仕掛けてやっから。楽しみにしとけ。

ヨウはアイロニー帯びた笑みを浮かべた。これは日賀野達に対する宣戦布告だ。まさかこんなにも早く宣戦布告するなんて思いもしなかったぜ。


同じようにニヒルチックに笑う日賀野もまた宣戦布告の意思を見せた。

ようやく本気でやり合える、そんな満足気な顔だった。
日賀野は魚住や帆奈美さんを呼んでいた。向こうも今日のところは引き下がるようだ。


「なんじゃいヤマト。なぁあんもせんのか。つまらん。奴等の面を拝みに行くって言うけぇ、何かするって期待しちょったんに」


肩を竦めてツマラナイと脹れる魚住に、「機会は幾らでもある」日賀野は細く笑った。

「男って本当に争いが好き。呆れる」

帆奈美さんは盛大な独り言を吐いてこっちを見てくる。否、帆奈美さんはヨウに眼を投げているみたいだった。気付いているのか気付いていないのかヨウはまったく彼女に目を向けなかった。涼しい顔で背を向けている。

今のヨウの気持ちは分かんないけど、多分複雑なんだろうな。
どういう関係か分かんないけどさ、肉体関係は持っていたみたいだし。帆奈美さんのこと、吹っ切れてるのかな。

聞いてみたい気持ちもあるけど、やめた。

今はそんな場合じゃないしな。
ヨウにだって触れて欲しくないところだと思う。俺は疑問まみれた言葉を呑み込んだ。

「楽しみにしてっぜ。これから先、テメェ等がどう仕掛けるか。せいぜい俺等に泣かせないようにな」

不敵な笑みを浮かべながら、日賀野は二人を率いて移動を始める。

「うぜぇ……」

愚痴りながらヨウも俺達に声を掛けて移動を始めた。みんなの後を歩いていた俺はふと足を止めて、もう一度だけ日賀野達に目を向ける。

そしたら同じように帆奈美さんも足を止めて俺達の方に目を向けていた。

俺は彼女とバッチシ目が合っちまう。すぐに目を逸らしたかったけど、向こうの鋭い眼光に逸らすことができなかった。目を細めて満遍なく俺の見てくる。

そしてゆっくりと形の良い唇を動かしてきた。


「ヨウは仲間より自分のクダラナイプライドを優先する男。舎弟の貴方はいつか後悔する」


今なら間に合う、ヤマトの舎弟になった方が利口。ヤマトはヨウよりも仲間を大切にする。

助言めいた発言を残して俺に背を向けた。俺は呆然と帆奈美さんを見つめていた。

ヨウが仲間より自分のプライドを? まさか、ヨウはそんな奴じゃねえよ。仲間のために突っ走る男だぜ?それは帆奈美さんだって知っているんじゃ。

ヨウから過去話を聞くと中学時代からそうだったみたいだし……帆奈美さんは中学時代からヨウを知ってるんじゃ。

俺からしてみりゃ、日賀野の方が仲間意識薄そうだけど。


じゃあなんで、あんな発言を? わっかんねぇ。ワケわっかんねぇよ。


首を傾げていたら、響子さんに声を掛けられた。
俺は止めていた足をぎこちなく動かして、ヨウ達のもとへ歩み寄った。

その間も帆奈美さんの台詞が脳裏にこびり付いて離れない。

ヨウは仲間より自分の誇りを優先する。日賀野の方が仲間を大切にする。何を意図して帆奈美さんは俺にそう発言してきたんだろうか?



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