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05-24



ゲッ、ちょ、マジで!



あんたそれ、頭にぶつかりでもしたらかち割れちまうぞ! 鉄パイプって状況によっちゃあ法律で凶器になること知っているか? 下手すりゃ警察沙汰だぜ、先輩?

……相手はご存じないらしい。マジっぽいようだ。目が据わっちゃっている。


俺は唾を飲み込んで、チラッとワタルさんを一瞥する。
ワタルさんの方も、相手が道具を使ってるみたいだ。錆びれかけた棒鉄を手にしているもん。

しかしワタルさんは楽しそうだ。
相手、二人なのに余裕の表情を見せているんだから。

ワタルさんに気を取られていた一瞬を、相手は容赦なく突いてきた。

俺の懐に入ってきた赤茶不良は、鉄パイプを振ってくる(アブなッ!)。

どうにかそれをプラスチックパイプで受け止めた。ジーンって鈍い振動がきたよ。ジーンって。


更に赤茶不良が凶器を振ってくる。

パイプが重たい分、動きが鈍い。

一か八か相手の懐に入ってみるか。
俺は受け止めた鉄パイプを横に流しして、相手の懐に入り込んだ。

驚いた赤茶不良の闇雲に振り下ろしてきた鉄パイプをどうにか受け止めてみたんだけど、至近距離だったせいか受け止めきれずに左肩にぶつかった。

多少威力が軽くなったとしても重量のある鉄パイプを振り下ろされたんだ。激痛、なんてもんじゃない。肩が燃えてるみたいだ。肩が熱い。

俺は歯を食い縛って痛みに耐えながら、プラスチックパイプを相手の鳩尾に力の限り突き入れた。ついでに脛も蹴ってやった。もちろん思いっきり。

呻き声さえ上げられない赤茶不良は、その場に崩れた。
痛みで体を震わせている赤茶不良に馬乗りになって、俺はプラスチックパイプを相手の顔横に振り下ろした。

「ッ、返せよっ……スケッチブック……」

今回、俺が喧嘩に参戦したのは透のスケッチブックを奪い返すためだった。

生徒会で起こった事件の犯人に差し向けられたこと、日賀野達のこと、勿論それも喧嘩参戦の理由の一つになるんだけど、一番は透のことだった。

よくも透から疑われるようなことをしてくれたなっ!

俺達を犯人に差し向けやがってッ、面倒なことをしてくれるは、生徒会からは疑われるはッ、挙句の果てに地味友から疑われるはッ、先輩だろうが不良だろうが、ヤラかしてくれたことは俺にとってかなり腹立つんだよ!

特に一番最後、地味友から疑われたこっちの身になってみろっ、最悪に気分悪いぜっ!

「ごめんね。ほんとごめんね」

泣きながら俺に謝ってきた透のツラを思い出して、知らず知らずパイプを持つ手に力が入る。




「昼休み美術室でスケッチブック取っただろ! 返せ! あれは透のモンだ! 返せよっ、かえせ!」





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