03-04 適当に駄弁った後、俺と利二は店を出て帰ることにした。 利二もバイトで疲れているだろうしさ。 愛用チャリで来たから途中まで乗せてやろうか? と言ったけど、利二は遠慮してきた。 だよな、ニケツは違反だもんな。下手すりゃ罰金科せられるもんな。 でも俺の舎兄は平然と後ろに乗ってくるんだな、これが。途中まで俺はチャリを押して、利二と駄弁りながら帰路を歩くことにした。 「んでもよー、モトって不良が俺を敵視してくんの。初対面とか最悪。ストレートパンチかましてきたんだぜ?」 「災難だったな」 「ほんとほんと。でも後で、取り敢えず仲良くは…なったんだぜ? 取り敢えず。ゲーム貸したくらいだしな」 「脅されて貸した、の間違いじゃないか?」 「いやそれが、おっと赤だ」 信号機の色を見ずに歩道を渡るところだった。 危ない危ない。車に轢かれちまう。赤信号、皆で渡っても、やっぱ車は車。轢かれたら大惨事になるって。 「赤信号、皆で渡れば恐くない……誰が考えたんだろうな? 常識的に考えたら迷惑だよな」 「まあな。物の例えじゃないか?危険なことも皆でやれば、乗り越えられる的な…そんな感じだと思う」 「危険なことでも……か。そういやさ、先日の騒動で一つ思ったことがあるんだ」 「何だ?」 「ヨウ達ってお互い仲間を大切にしているなーってこと。部外者の俺から見ても、何かまとまりがあってさ。ヨウなんて、仲間の危機にひとりで突っ走ろうとしているんだぜ? ひとりじゃ危険だって分かっているのによ」 幾ら強くてもひとりじゃ危険だって、あいつ分かっていたくせに突っ走ろうとする。 その必死な顔を見て、ああ追いかけなきゃなって思ったんだよな。結果的に厄介に厄介が上乗せされちまったんだけどさ。 「ああいうのはなんか、見ていて良かったなーって思えるぜ」 「何が良かったんだプレインボーイ。俺も会話にまぜろよ」 俺の肩に誰かの腕が乗って寄り掛かってくる。 いやいやいや、それよりも、今の呼び名。うわぁ、なんか懐かしいってか、本能が号泣しているっつーか、利二の顔、めっちゃ青い。信号機と同じ色。あくまで信号機の色は青だぜ。緑っていうけど俺は青だって言い張る。とか思っている場合じゃない。 ぎこちなく視線を上げれば、黒に青がまじった髪が目に入った。 嗚呼、神様、何度恨んだか分からないけどさ。 今回ほど強く恨んだことないぜ。休日だってこの日に、まさか……まさかの、しかもヨウ達がいない時に、利二がいる時に……。 「今日は舎兄と一緒じゃないんだな、プレインボーイ」 ガムを噛んでいる日賀野大和がニヒルに笑って、俺を見下ろしてきた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |