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進路調査書には“スタントマン希望”と記しておきたい



チャリを取りに帰ってくれた利二、タコ沢が倉庫に戻って来る。  

それを合図にヨウは二人に事情を説明して行動を起こすと皆に指示。

タコ沢は俺達と行動、利二は浅倉さん達と一緒に行動を共にして情報をこっちに送って欲しいと頼む。

浅倉さんと仲間が数人、こっちに向かっている筈だから来次第彼等と行動して欲しい。


浅倉チームが来るまで自分達も此処にいるからとヨウ。

一人で此処にいても大丈夫だって利二は言うけれど、

「テメェは仲間だ」

何か遭って傷付いて欲しくないとヨウはキッパリ告げた。

これには面を食らっていた利二だけど、「ありがとうございます」仮でも仲間扱いしてくれて嬉しいと利二はヨウに綻んでいた。

「チームメートじゃなくても仲間だ」

ヨウはニッと利二に笑いかけ拳を求めた。
あいつなりの利二への歩みだと思う(性格的に苦手かもって言ってたわりにはそんな素振りをみせていない。これもリーダーの素質かもしれない)。

ヨウの行為にこれまた面食らっていた利二だけど、迷わずその拳に自分の拳を当てて武運を祈ると言葉を掛けた。

「できることはしますから。どうか荒川さん、皆さん、ご無事で」

「ああ、サンキュな。五木。テメェも無茶するなよ。悪いな、巻き込むような形になって」

「いいえ」

利二は自分から関わったことだって一笑、俺に視線を流してきた。


「どーもカッコつけ馬鹿の友を持つと、自分もカッコつけになるみたいですから」


えーそれって俺のせいかよ? 完全に責任転嫁だろう?

不満を抱く俺を余所に「言われてやんの」ヨウは茶化しを飛ばし、利二に改めて礼を告げる。協力してくれて本当にありがとう、と。

俺からもありがとうな、利二。
ほんとうに協力してくれてありがとう。


浅倉さん達がやって来ると、利二は蓮さん達のバイクに乗せてもらっていた。

これから利二は浅倉さん達のたむろ場で待機だって。

主に情報収集を担当。
何かあり次第俺等に連絡する間接的連絡係りだ。

仲間内のバイクの後ろに乗せてもらう利二は、「無理だけはするな」心配性らしい言葉を俺に飛ばしてきた。

怪我をするな、は無理だろうからくれぐれも無茶だけはしないように。

しっかりと釘を刺してくる利二に右の拳を差し出して、「おう」俺は気を付けると目尻を下げた。

「利二も気を付けてな。マジでありがとう、有り難くチャリは借りるから。利二、お前は俺の大事な地味友だぞ。俺にとって一番の理解者だ」

意表を突かれたような顔、一変して破顔。

「まったく……恥ずかしい奴だな、お前も。自分もだよ、田山」

俺の拳に自分の拳を当てて、再三無理だけはしないようにと言葉を掛けてきた。おう、利二も無理はするなよ。


ヨウは浅倉さん達に挨拶を交わしている。

「悪いな」

手を貸してもらっていることにお礼と詫び、両方を口ずさんでいた。

すると浅倉さんは何を言っているんだとばかりに、舎兄の肩を力強く叩いて協定を結んでるんだからと大きく笑声を上げた。
『エリア戦争』の借りを少しでも返さないと、浅倉さんはウィンクをして舎弟二人に同意を求めた。

不良内では珍しく二人の舎弟を持っている浅倉さん。一人は二代目舎弟桔平さん、一人は初代舎弟蓮さん。両者賛同を口にしていた。

「俺達が『エリア戦争』に勝てたのも、アンタ等の協力あってだ。仲間と再結成できたのも、やっぱりアンタ等のおかげ。借りは返さないと道理に反するって。なあ? 蓮」

「ああ。こっちは任せてくれ。今の俺等だったら、きっと大きくあんた等に役立てれる筈だ。真っ直ぐ日賀野達を潰して欲しい」

桔平さん、蓮さんは上手く舎弟をやりこなせてるみたいだ。雰囲気で分かる。
良かった、蓮さん……ちゃんとチームに溶け込んでいるみたいだ。

彼等ならきっと大丈夫だろう。

だって傷付き傷付いてチームを再結成したんだ。絆は深い。
もしかしたら俺達よりも深いかもしれない。そう思うほど、彼等は強い絆で結ばれたんだ。きっと大丈夫だ。



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