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14-07



だから仕方が無いんだって、俺達も男だから! 男のサガってもんがあるんだよ、おっぱい興味あるんだよ!

話を戻し、弥生は改めてこいつがハジメと一緒にいた。弄んだんだと怒りを見せる。
名前もバッチリ入手してきた。そう意気込む弥生が名前を紡ぐ。


「ふ……古渡(ふるわたり)……さん?」


否、弥生が名前を教えてくれる前に、ココロが名前を紡ぐ。

まさかココロが彼女の名前を知っているなんて、しかも相手の名を口にするなんて思わなくて、一同は目を削いで彼女を凝視。

でも一番凝視していたのはココロだった。
写真を凝視して、相手の顔を確かめる彼女は見る見る血の気をなくしていく。

確信を持ったのか、ココロは古渡って女の写真から急いで目を背いた。
目に見えるほど震え始める彼女を案じた響子さんが、そっと声を掛けた直後、

「吐きそうです……」


ココロは嘔吐を訴えた。



吐 き そ う ?



それってもしかして、カウントダウン入っ「う゛ぇっ」ちょぉおお、タンマタンマタンマ! ココロっ、タンマ! 後数十秒タンマ!


ココロの訴えに、チーム内は大慌て。

倉庫内で吐かれちゃ困るから、急いで響子さんはココロを連れて倉庫の外へ。

弥生も持参していたビニール袋、そしてミネラルウォーターの入ったペットボトルを片手に二人の後を追う。

俺もついて行きたかったけど、幾ら彼氏彼女とかいえ、そういう姿を見せたくないと分かってたから(俺もそういう姿は見せたくないしな)、大人しく中で待機。


でも彼女が心配だからあっちへうろうろ、こっちへうろうろ、そわそわしながら帰りを待っていた。

仲間内に大人しく座ってろと注意されたのだけれど、居ても立ってもいられず、倉庫内をうーろうろ。ゼンッゼン落ち着かなかった。

あー遅い。
いや時間の経過が遅いのかもしれない。

大丈夫かなココロ。
写真を見た途端の、あの顔色の変えよう……尋常じゃなかった。

もしかしてココロは古渡という女と何かあったんじゃ。

それもココロの過去の傷と直結に結び付く相手なのかもしれない。小中時代は苛められていたと言っていたし。何か関係のある人物なのかもしれない。それにしても遅いなぁ。


「遅いなぁ……大丈夫かな」

「ケイ。疲れるぞ。座っとけって」


モトに言われても気持ちは落ち着かない。俺の足は意識に反してあっちへこっちへ動く。

そうしてあっちこっち足を動かして待っていると、ようやく弥生が戻って来る。弥生だけ戻って来たってことは、まだ響子さんとココロは外、なのかなぁ?

「ケイ」

入って来るや否や、ご指名してくる弥生は俺の腕を取って、ちょっと来てくれるよう頼んできた。


「ココロ、体調の方は落ち着きを取り戻したんだけど。気が動転しているの。ケイが傍にいてあげて。私や響子じゃろくに話も聞こうとしないの。すっごく自己嫌悪しちゃって……」

「自己嫌悪?」

「うん。お願いケイ。ココロを落ち着かせてあげて」


「ケイ、行ってやれ。こっちはこっちで話を進めておくから」


ヨウの後押しもあり、俺は弥生と共に倉庫の外へと出た。


向かうはいつも俺がチャリを止めている倉庫裏。
俺の目に飛び込んできたのは、積み重ねている古木材に背を預け、膝を抱えて顔を埋めてしまっているココロと、胡坐を掻きながら慰めの言葉を掛けている響子さんの姿。

ほとほと響子さんは困り果てているようだった。

ココロの頭を撫でながら声を掛けているけど、ちっとも彼女は話を聞こうとしないようで、しきりに首を振っている。

姉分の響子さんの言葉を拒絶しているなんて……それだけココロの気が動転しているのかな。

ガクガクと身を震わせているココロを落ち着かせようとしている響子さんは、俺と弥生の姿を捉えて腰を上げた。

「頼んだぜ」

すれ違う際、響子さんは俺の肩を叩いて弥生と一緒に倉庫に戻って行く。

頼んだぜと言われても、姉分の響子さんを拒絶しているくらいなのに、付き合いの浅い俺がココロにできることなんて。してやれることなんて。


だけど――このままじゃ俺がヤだ。

何も出来ないで突っ立っているなんて絶対にヤだ。




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