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11-17



さて馬鹿なやり取りも程ほどに、先陣を切る少数チームが二手に分かれて行動開始

次第次第にスピードに乗っていく乗り物たちが東西に分かれて流れて行く。

遠ざかるバイクの唸り声やら、油切れしているチャリの軋む音をBGMに、斬り込み組を見守りながら、「不安か?」ヨウは先程から険しい顔で無言を貫き通している浅倉に声を掛けた。

途端に浅倉は力なく表情を崩し、「さあねぇ」おどけ口調で誤魔化した。

同じリーダーの立ち位置にいるヨウは彼の心中を察してしまったが、敢えて何も言わずシケた面だけはどうにかしろと一蹴。勝てるものも勝てなくなると厳しく諌める。

何よりも浅倉について行くと決めた仲間が不安になってしまうではないか。

リーダーらしい発言に、「そりゃスンマソ」微苦笑する浅倉は未練がましいんだろうなとヨウに吐露した。

弱音に近い吐露だった。
彼自身、かつての仲間と争うことに些少ながらも抵抗心を抱いているようだ。

しかしすぐに気持ちを切り替えた浅倉は持ち前の金髪を掻きあげて軽くかぶりを振った後、

「これはこれだな」

制服の胸ポケットから煙草を取り出す。
百円ライターで先端を焙り、ふーっと紫煙を吐いて一笑。


「おりゃあ、リーダーとしてやれることをやるまでだ。迷っている暇も何もねぇ。な?」

「テメェな。今から舞台に上がろうってのに、躊躇されちまったらこっちが困るっつーの。テメェの仲間、こっちに吸収しちまうぞ」


「そりゃ困る」


自分だって仲間は大事なのだから。

浅倉は本調子を取り戻したのか、軽い口振りで紫煙を宙に漂わせる。


そうでなくては困る。
ヨウはシニカルに笑い、仲間達の合図を待つ。

大丈夫、先陣を斬ってくれる仲間達は皆、頼もしい奴等ばかりだ。

浅倉のチーム面子の詳細は分からないが、此方の面子ならば胸張って断言できる。頼もしい奴等だと。

二手に分かれた中には自分の可愛い弟分モト、響子、大口を叩いてはいるがタコ沢だって頼もしい自分の仲間なのだ。きっと上手くやってくれる。


(間接的連絡係りに弥生とココロ。直接的連絡係りとしてハジメとケイ。喧嘩できねぇあいつ等だって俺の大事な……この喧嘩、仲間達のためにも一旗あげる。ぜってぇに)


リーダーは仲間を守ると同時に、誰よりも仲間を信じなければいけない役目を背負っている。

大丈夫。
先陣を斬ってくれてる仲間も、連絡係りを任せている仲間も、待機している仲間も自分を支えてくれている頼もしい仲間。

すぐに周囲が見えなくなる自分をリーダーだと認めてくれる奴等なのだ。

必ず、上手くやってくれる。



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あきゅろす。
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