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想いを伝えたい人はここにいる







体育の時間はすっかり青春の感傷に浸った俺だけど(もしかしてこれもリア充か?)、甘くほろ苦い青春に浸ってばっかりもいられない。

学校でたっぷりと睡眠や休息を取り、十二分に体を休ませた後は(勉強は大丈夫かなぁ)、たむろ場に行って集会に参加しないといけなかった。

今日も俺達は作戦組、偵察組、分析組の三つに分かれて重点的に話し合いを行っている。

三チームという大人数相手にどう少ない労費で目的を達成できるか、何度もなんども打合せをしているんだ。

たかだか喧嘩、されど協定を結んだ俺達荒川チームにとっても、榊原チームを打倒したい浅倉チームにとっても、この喧嘩は負けるわけにはいかない。

この喧嘩が今後の行動範囲やチームの行く末を決めていくんだ(と、ヨウが言っていたよ! 俺には喧嘩の良し悪しがあんまり分からないけど!)。


とにもかくにも念入りに話し合いをしておかないと。協定を結んだのにあっさりと負けちゃいました。なんて格好悪いじゃんか。な?


だけど、話し合いばかりもしていられない。

いつ榊原や向こうのチームと協定を結んでいる日賀野の耳に事が知れるか。

そう思うとグズグズもしていられないんだ。

あいつ等の参戦だけは回避したい。

幾ら俺等でも奴等相手じゃ苦戦どころか、悪戦苦闘の末に敗北することだってありうる。向こうのリーダーは我等がリーダーと違って生粋の策士だから(ヨウに言ったら怒られる物の言い草だけど)。

しかも根っからの性悪だ。途中参加であろうと向こうに参戦をされたら、八割方の可能性で敗北しちまう。

『エリア戦争』は『エリア戦争』で、日賀野達は日賀野達で対処していかないとな。じゃないとアウチ……恐くて怖くて仕方が無いんだぜ!

だって日賀野の耳に入ったら必然的にその喧嘩面白そうじゃんかプレインボーイ、俺も混ぜろよ、とか言って仕掛けてくるんだ。

俺は苦手な日賀野と再会するというか! 泣きたいというか! なんというか!

嗚呼……やべぇ、いずれはあいつと再会しなければいけない運命なんだと思うだけで変な汗と恐怖と動悸が。日賀野症候群、恐るべし。


話は逸れてしまったけれど、そんなこんなで、俺達は今日も話し合いをしている。

そして目処を付け始めていた。いつ、『エリア戦争』に先陣を切るのかを。


さて語り部となっている俺は今、分析組に身を置いて話し合いに参加している。

分析組にはハジメや弥生、ココロ、向こうチームからは副リーダーの涼さんなどが参加。どうすれば一番効率の良い戦ができるか、みーんなで分析中。輪になってジベタリングしている。


「やっぱり一番はさ。榊原チームを倒すことにあると思うんだ、僕は」


両リーダーに意見するのは我等が頭脳担当のハジメ。

残り二チームに戦力を傾けるのは正直勿体無い。

最終目的は『エリア戦争』の優位に立っている榊原チームを伸すことに意味があるのだとハジメはノートの切れっ端にメモを殴り書き。

大御所の榊原チームを伸せば、両チームも萎縮して降参をするのではないかとハジメは考えているみたい。

しかもこっちには“荒川庸一”というブランド名まで背負っている。
双方、荒川庸一という有名すぎる不良の名前を聞けば、降参してくれるのではないか。ハジメはそう考えているようだ。

それは分かっているのだと涼さんが真っ向から意見を返す。

榊原チームを伸してしまえば向こうも勝てないと自信喪失。

次いで戦意も喪失し、白旗を挙げてくれる可能性は大きい。
一番良い効率は榊原チームを伸してしまうことだと述べるものの、涼さんの顔はきわめて険しい。眉根を顰めて口をへの字に結んでいる。


「ばってん、どげんしても二チームば知ったこつかすることはできなか。榊原のところに行くには二チームの目は避けられなかし、見つからなかようにする不可能やけん。北ば陣取ってるから、どうしても東西には見つかるとよ」


「な?」同調を求められても、「……」俺等はポカーン。

え、涼さん、今、日本語を言いました? 所々しかわっかんねぇんだけど。むっちゃ早口だったし。

何が言いたいかというと方言はやめて下さい涼さん! 今の九州弁ですかね? 前から方言がまじるとは言っていたけど、グレードアップしてね? 完全訛っているよい。




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あきゅろす。
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