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11-03



閑話休題、連絡を取り合うリーダーの側らで補佐をしていた俺は絶賛寝不足である。


起床時間もやばかったし(母さんいなくて助かった)、普段じゃ絶対やらない授業中の居眠りもしちまったし、説教は食らっちまうし。寝不足やら説教やら、踏んだり蹴ったりだ。

無論、非は俺にあるんだけどさ!

ごめんちゃい、前橋。
お前もこんな生徒を持って苦労するな! 俺だったらこんな生徒、ぜってぇ打(ぶ)ってるぜ!

「なあハジメ。お前が計算する勝算ってどれくらい?」

ポン。
ハジメにバスケットボールをパスして問い掛ける。

現時点での勝算を知りたいと思ったのは“なんとなく”の気持ちからだった。少しでも明確な“勝ち負けの答え”が欲しかったのかもしれない。

「ンー。五分五分ってカンジだね。そりゃ僕等には腕っ節の強い奴等が多いけど……問題は数だよ。数」

ポン。
パスを返してくるハジメは正直に答えてくれる。

曰く、戦力の問題よりも相手にする数の問題らしい。

なにせ、三チームを相手に挑むのだから、そりゃあ数が多い。

特に榊原チームは数でも力でも圧倒している。

悪戦を強いられるには違いない。
想像するだけでも気鬱になるのは俺だけだろうか。

普段の俺ならそりゃもう、できることならごめんなさい。
田山は無理です逃げますトンズラします。

平謝りしながら戦闘を放棄するさ。

土下座してでも逃げるを選ぶね! 普段なら!


でも、今回ばっかしはそうもいかない。

渋々泣く泣くオロオロとしながら戦闘してきますよ。しちゃいますよ。

できる限りのことはしますよ……泣きたい。
勝算、五分五分なら尚更、泣きたい放り出したい逃げたい!

俺に腕っ節があれば話が別だけど、非力田山には勝率五分でもきつい。


はは、俺もいい加減に観念という二文字と覚えた方がいいみたいだなぁ。すんなり観念して、広い心で喧嘩を受け入れる。そんな聖人になれたらいいなぁ。

おりゃあ、普通の人間だ。無理なものは無理!
聖人田山にも、Z戦士田山にも、スーパーサイア人田山にもなれそうにないんだぜ! かめはめ波なんて会得できたら、不良を倒すどころか地球を救えちゃうんだぜ!


「な? ハジメ。俺達、Z戦士にはなれないよな? 気円斬とかどーやって会得するよ!」

「……ケイって時々話がぶっ飛ぶよね。一体全体何の話?」


おっとしまった!
また俺としたことが……田山ワールドを作り上げていたようだ。

しかも俺の中だけで作り上げてるもんだから、相手には通じない。アウチ! そんな不審な目で俺を見ないでくれ、ハジメ!

軽く咳払いした俺は、トントンッとボールを床について、もう一度ハジメにパスをする。
いい音を出してキャッチする相手がナイスパス、と声掛けをしてきた。返事をする代わりに話を続ける。


「ハジメの頭脳がフルに使われる喧嘩になりそうだな。力の配分といい。喧嘩するタイミングといい。どうしていくかは、ハジメに掛かってると言っても過言じゃないや」

「随分とプレッシャーを掛けてくれるよなぁ、ケイって。僕の力なんて高が知れてるよ」


自分を卑下するハジメの笑みは自嘲帯びている。


「馬鹿。ハジメはそれだけ実力があるってことじゃんか。俺よりか遙かに喧嘩歴は長いだろ? ……まだチームを抜けようと考えていたりするのか?」




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