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ひとりよりふたり、独断より協調性、ニッポン大衆国!


◇ ◇ ◇



【協定集会・場所:倉庫(荒川組たむろ場)】


嗚呼、なんてこったいマドモアゼル。 

とんでもジョニーな光景に、俺の気持ちは勘弁してくれフロイラインだ。

かつてない光景に圭太、喪心しそうッス!
こんなにも多くの不良に恵まれてしまって俺、泣きたいッス!

勿論感涙じゃなく、悲しみの涙ッス! 涙も心もしょっぱい気持ちで一杯ッス!

……阿呆なことはここまでにして、この不良の数はない。
過度に言いすぎかもしれないけれど、それにしたってこの人数には「……」だ。

俺達のチームと浅倉さんチームを合わせると結構な数になるもんなんだな。

若干向こうの方が人数的には多い気がする。俺は向こうのチームを見やって不良の数を数えた。


俺達チームの人数は男女合わせて11人(と、チームに手を貸している利二を合わされば12人)。

一方、向こうの人数は15人。現時点では4人、向こうの方が数が多いみたいだ。

ただ俺等と決定的に違うのは向こうには女がいない。見事に野郎ばっか。

もしかしたら“エリア戦争”に参加するからと、女の子は入れていないのかもしれない。チームから抜けさせているのかもしれない。

力的な意味で女の子は足手纏いだし、やっぱり女の子に怪我をさせるのはなぁ。


そういう面じゃ俺等も同じで、基本的に女子は待機組(もしくは情報・作戦組)に回ってもらっている。

響子さんは自ら喧嘩に参加すると言っているからあれだけど(でもヨウやシズは今回に関しては反対しているみたい。

だから補佐をしろ、と条件を出していた)、非力な弥生やココロに喧嘩に加担しろ、なんて酷だしな。

ま、非力な俺も十二分に酷な戦場に借り出されるんだけどさ! 死亡フラグ満載どーするよ……。 

がっくり肩を落とす俺は、改めて集会光景を見つめる。

協定集会が始まったのは午後五時。
夕焼けが何年も掃除されていない倉庫の窓から射し込んで、倉庫内を見事な真紅に染め上げている。

比例して皆の制服や肌の色が夕陽色に染まっていた。

集会が始まる前から向こうのチームは険しい面持ちだった。

協定を結んだ俺等に友好的な感情は見せてくれているものの、未だに俺等を信用していないのか、もしくは『エリア戦争』に憂慮を抱いているのか、硬い表情が殆ど。

おかげで各々不良に妙なオーラが取り巻いて、圧死しそうな威圧感が倉庫を満たしていた。空気が重い。超重い。息苦しさにトンズラしたくなるほどだ!


そんな中で始まった集会。
野郎は各々ジベタリングしているため、倉庫内はお行儀の悪い光景極まりない。

まずは浅倉さんが代表してリーダの自分と副リーダーの涼さんを紹介してきた。

人数が人数だ。全員を紹介する時間が惜しい。
せめてチームの中心人物だけを憶えていてもらおうという配慮から、自分を含むチームの頭を俺等に紹介。

それに倣い今度はヨウが改めて、浅倉さんチームにリーダーの自分、副リーダーのシズを紹介。
簡単な自己紹介後は、浅倉さんが早速『エリア戦争』について現状を全員に説明する。



「エリア戦争は全部で4チームが参加している。おれ等、榊原、都丸、最後に刈谷チームの4チームだ。

既にエリア戦争は始まってらぁ。圧倒的に今、優勢に立っているのは榊原チームだな。商店街の支配エリアが確実に広い。おれ等は劣勢なんだ。此処で質問は……って、ん? なんか荒川チームがキョトン顔しているが……え? なに? ちっとも話が見えてこない?

ああ、悪い悪い。
話す順序がちげぇな。あまりにも端折りすぎた。おれ等チームは分かっているけど、お前等は分からないよな?

んじゃ、まず最初に商店街の構造と支配エリアについて説明することにするぜ。悪いな、おりゃあ説明ベタなんだ。けど頭として精一杯、説明させてもらう。

池田達が支配していた商店街の地形はダイヤのような形をしている。
普通のダイヤの形を想像してくれれば良い。まだ想像し難い場合はトランプに載っているダイヤのマークを想像してくれ。とにもかくにも寂れているくせに、『廃墟の住処』って呼ばれている商店街は妙な形をしているんだ。

この商店街の地形の面白いところは、ダイヤの形した各々の突端に出入り口があるってことだ。
つまり、ダイヤの形の角っこ角っこに商店街の出入り口があるって話だ。出入り口は全部で四つ、東西南北それぞれにある。

わりと大きな商店街だってことくれぇは想像付くよな? 少し前まで……あー昭和時代は賑わいを見せていたらしいからな。
平成に入ってからデパートやらコンビニやらの出現で廃れちまったけど、近所じゃ有名な商店街だったらしいぜ。商店街のエリアは結構でかい。

各チームはそれぞれ出入り口を支配して、自分の陣地を徐々に増やしていこうという魂胆だ。

おれ等は北の出入り口を支配している。

だが陣地は少ねぇ。
戦力不足で出入り口付近を守るのが精一杯だ。おれ等と同じような状況下にあるのは東の陣地を支配してる都丸チーム。あっちも戦力不足なのかぁ、支配エリアは少ねぇ。実力的にはおれ等とどっこいどっこいだ。

西の陣地を支配しているのは刈谷チーム。ちょい優勢で、陣地的にはおれ等よかは広く取っている。おれ等は先日、このチームに一部のエリアを取られちまった。実力的にはどっこい、だが数が多い。厄介っちゃ厄介だ。

いっちゃん厄介なのはおれ等と対立している榊原チーム。

奴等は南の陣地を支配しているんだが……こいつ等は商店街の半分のエリアを支配している。おれ等は北側だから、まだ影響は少ねぇが……両サイドの東西エリアを支配している都丸・刈谷チームは影響が出てるみてぇだ。

それだけ榊原チームが力を持ってやがるってことだ。元はおれ等とチームだった奴等。実力者ばっかが集っているチームだってことは、ハナっから理解している。数も多いしな。

しかも日賀野チームと協定を結びやがった。
下手に手出しすりゃ、日賀野チームが駆けつけるかもしれねぇ。他のチームはそれを知っているから、なっかなか仕掛けられない状況下にある。

おれ等としては榊原チームを伸すのが最大の目的だが、東西エリアを支配している都丸・刈谷チームを無視することはできねぇ。ま、現状説明はこんなところだ。ご質問は?」





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あきゅろす。
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