10-14
「ヨウの決断が正か誤か、皆、分からないと思う。でもチームのために出した決断なら、皆、納得すると思う。誰も不満なんて出さないって。協定の答え、もう出しているんだろ? 自信を持てよ」
「――俺の迷いを吹っ切らせてくれるのはいつもテメェだな。ケイ」
何を今更。
当たり前のことを当たり前のように言っているだけなのに。
「こんなんでも舎弟だぜ、兄貴」
「そうだ。テメェは俺の舎弟だ。ナリも手腕も関係ねぇ。こんなんもクソもあるか」
ふーっと紫煙を吐いたヨウは、一日二日考えて結論を出すと返した。一応、時間を置いて考えを見直さないと誤りがあるかもしれないから。
でも、もうヨウの出す結論は分かっていた。
俺はヨウに一笑し、「煙草でも吸ってみようかな」冗談を交えて話題をかえる。
「そしたら不良チームとしてもっと馴染む気がしないか? ……ヨウ。冗談だぞ。何、その差し出す煙草。ライター。俺は別にっ、アアアアッ! 煙草に火ィ点けちまうし!」
「何事も経験だ。ほら、ケイ」
火の点いた煙草を差し出されて、俺はおずおず受け取る。
まあ、ドラッグを吸うわけじゃないんだしな。そこまでビクつかなくてもいいと思うけど、ああでも、煙草を吸う……ねぇ。
地味っ子ちゃんが煙草を吸っちゃうって。
こんなことなら、冗談でも煙草を吸ってみようかな、なんて言うんじゃなかった。反省だぜ畜生。
まあ健太が吸えていたくらいだしな。俺でも吸えるんじゃね? あいつが吸えてて俺が吸えない。おかしいだろ。うん。
ということで田山圭太、初の試み。初の不良試み。圭太、いっきまーす!
………うん、煙がね………うん、喉にね………うん、纏わりついてね……うん、ゲホンゴホンのコンチクショウ!
この後、俺がどんな目に遭ったのかは伏せておくけれど、二度と煙草を吸わないと決意したのは確かだった。
ちなみに俺の様子に始終、ヨウが大爆笑していたことは余談としておく。健太の畜生、煙草を吸えるオトナになっちまいやがって。
お前なんて一生ジミニャーノ称号剥奪だからな!
ちょっとだけ悔しい思いをしたのも余談としておく。まる。
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