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だけど。
「ん。あれ、スマホが振動している。メールかな」
教師がいないことを確認してブレザーのポケットからスマホを取り出す。
慣れない手つきで画面をタッチ、中身を確認する。
新着メールが来ているようだ。
えーっとこれを読むには……画面をタッチしてメール画面を開いた俺は、それを一読。
血の気が引いてしまったのは直後のこと。
「どうしたのだ?」
鈴理先輩が顔を覗き込んで来る。
差出人は御堂先輩。
内容は『なんで新たに内職しているんだい君は!』一体いくつ内職を持っているのだと問われるメールに、しまったと挙動不審になる。
「御堂先輩に内職のことがばれたっ! 学校ならばれないと思っていたのに! ど、どこから監視をされて……ああっ、きっとあのM族親衛隊だ! チクッたなー!
鈴理先輩、メールで『今日中に配るものなんで許してください』と打ってください。俺じゃ時間が掛かっちゃうんっすよ!」
「べつに良いが……空、内職を禁じられていたのか?」
「ちょ、ちょっと内職にのめりこみ過ぎて」
「ん? またメールが。さと子という奴からだ。
『空さま。お部屋を掃除をしていたら、スーパーのチラシが大量に出てきました。捨てても良いですか?』らしいが」
「あぁあああダメダメダメ! それはタイムセールが載っているチラシ! 先輩、先にそっちを返信して下さい! 俺の大切なチラシがピンチです! それで何日、我が家が救われるか!」
「……空、あんた財閥の子息候補「だからって我が家の家計が潤うかといったらそれは違うでしょ!」う、うむ、そうだな。空はいつだって家庭に優しい男だからな」
慌てふためく俺に押され押されながら、鈴理先輩がスマホの画面をタッチした。
――今日も俺は御堂財閥の子息候補として日々を送っている。
だけど、庶民の生活を捨てたわけじゃない。
否、捨てられない。
これも俺の大切な日々なのだから。
もし本当に財閥の後継者になるのならば、俺はいつか、この日々を捨てなければいけないのかな。
答えという未来はまだ見えない。
To be Continued...
2013.04.18
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