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<3>何卒宜しくお願い致します。
 
 

 
「―――…最悪だ。貴様のせいでっ、右頬に全治二週間の青痣を負ってしまったではないか」
 
「言いがかりはよせよ。ぼくなんて君とぶつかって鼻血だぜ? 鼻血なんて小6以来だぞ」
 
 
ベッドに腰を掛けてむすっと顔を顰めているぼくと仲井は視線を交わし、フンとそっぽを向いた。
 

場所は変わって保健室。

階段で大転倒したぼくと仲井は、前回と違い、目に見える傷を負って保健室にお世話様となっている。


転がるように落ちたおかげさまで頭をぶつけただけでなく、ぼくは鼻を、仲井は右頬を強打。激痛い目を見てしまった。


どうしてぼくがこんな目に。


湿布くさい仲井を流し目にし、ぼくは右に詰めているティッシュを押し込みなおした。

腕を組んでいる仲井は、「眼鏡が歪んでいたら弁償してもらうところだったぞ」と舌打ちを鳴らしている。

こっちが舌打ちをしたいんだけど。
 

「なあ。君の持っている雑誌、貸してくんない?」


顔を背けたままぼくは仲井に声を掛ける。

ベッドに腰掛けている今、カーテンも閉められているから有意義に雑誌を広げられる筈。
 

無言で投げ渡してくる仲井に、ぼくの持っている雑誌を投げ返して、いざ勝負。


勢いよく雑誌を捲り、ぼくはダイナマイトボディを持つグラビアアイドルを観察する。


おっきなおっぱいだ。

Dはあるよな。
こんなおっぱいを持つ女の子は大変そうだ。胸が大きいと肩凝りが酷いって言うし。


ぼくは男に生まれてよかっ…、よかっ…、良くねぇ!


あ、いや、男に生まれては良かったけど、今の感想は良くねぇ!


グラビアアイドルを見てもときめかないなんて由々しき問題!

身を張ってまで痛い思いをしたのにっ、女の子を見て「フーン」で終わるぼくがいる!

 
つまり、戻ってねぇ!
イッタイ思いをしたのに!
  


「……茶に関する記事に興味すら出てこない、なんて」

 

お隣さんも絶望している様子。

チラ見すると真っ青になっていた。

視線を仲井から仲井の持っている雑誌に目を向ける。見出しを見ただけで、「すっげぇ!」と目を輝かせてしまった。

 
「お茶の歴史が載ってるじゃんそれ! まだそこまで読んでないんだよ。茶道の礼儀作法ばっか読んでたか、ら……、おしまいだ。ぼくは今、お茶にときめいた。女の子を見てもフーン、だったこのぼくがお茶如きに!」

「それを言うならおれだって同じだ。先ほどから、貴様の持つ雑誌が気になって仕方がない。目が、む、胸ばかりにいく」


穴があったらそこに入って埋まってしまいたい。

仲井が雑誌をベッドの上に放って頭を抱えた。
 
 
 

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あきゅろす。
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