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18-04



「貴方達が味方になってくれると、とても心強い。でも必ず帰って来て下さいね」


かつて連行人、執行人という立場だった双方の溝が静かに埋まる瞬間だった。

「ああ」必ず、郡是はベリーに言葉を返す。

そしてローブを掴んでいる少年の肩に手を置き、「この集落を守りたい」だから戦ってくると綻ぶ。

眉を下げる流聖に、「大丈夫とよ」お兄ちゃん達は強いから、と七簾が言葉を掛けた。


「じゃあ僕も。だって僕、男の子ですもん! 集落を守りたいです! 菜月お兄ちゃんや螺月お兄ちゃんがきっと此処に帰って来ると思うから!」

「と、言っても流聖はまだ子供「ヤです!」えーっと…、ヤと言われても困るとよ」


苦笑する七簾に、「もうヤなんです」流聖は守られるだけなんて絶対ヤだと声音を張る。


戻って来てくれる人達を信じているから、自分も何かしたい。

流聖の真摯な気持ちに郡是は目を細めていたが、「では任務を任せようか」と話を切り出した。


「俺達は外側から集落を守る。流聖、貴様は内側から守れ」

「内側から?」


「守るにも種類がある。お前が集落を守りたいのならば、此処にいる傷付いた者達を手厚く介抱してやれ。家屋が壊れているならば、修復を。
仮に敵が中に入って来たら武器を手に取れ。どれも守るに値するものだ。これは重要な任務。できるか?」


幼い子供には難しい言葉だっただろう。

しかし流聖は分かったと頷き、自分は内側から集落を守ると見よう見真似の敬礼した。

「いい返事だ」一笑し、郡是は子の額を指で弾くと今度こそ集落を後にする。

これから身を引き締めて護衛に当たろうと思う。


「郡是隊長…、子供の扱い方上手いとですね。
うわぁああ! オイラっ、流聖に懐かれるのに苦労したとですよぉおお! なのに隊長はもう懐かれてっ、ズルイっ、ずるいとですぅうう!」


………。

自分の隣で喚いている七簾に拳を入れる。
 
「酷いとです」

なんで拳骨とですか…、呻く部下に気を引き締めろと郡是はこめかみに青筋を立てた。


これから自分達が立ち向かうのは同属だった聖保安部隊。

身を挺してでも集落を守らなければならないのだ。


集落を守った後もやることは山盛りだくさんてんこ盛り。

自分達は此処で終われない。


まだ自分達は一端の聖界人として、一端の聖保安部隊としてやるべきことがあるのだから。



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