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03-20




 暫し沈黙が流れた後、我等がリーダーは賛同の意思を見せた。
   

「俺は響子の案に賛成する。多少のリスクは仕方のないことだし、他に案もねぇ。
どうにか一日で土地をあらかた把握するってことだけでもできねぇかな? 把握さえできちまえば、不良の動きは後からなんとでも結び付けられるだろ? 奇襲だってそう、ポンポンできるもんじゃねえしな。奴等が何処に現れるかの目処を立たせることくれぇはしてぇ」
  

 ヨウのご意見に、「ばってんどげんするとよ」涼さんが反論。
 
 一日で土地を把握なんて、そうできることではないし、ハジメの言うとおり奇襲返しに至るまでの動きは小さい方が良い。少人数規模で、けれど一日で把握できる方法なんてあるのか、涼さんの意見に俺は口出す。「これからすぐ俺とタコ沢で動きます」と。
 あんましたくねぇけど、この際、そうも言ってられない。現場には俺が、不良の動きはタコ沢が、各々仕事を引き受けると申し出。
 
「今から俺、ある程度の土地に目処を立たせます。タコ沢には不良達の動きを掴んでもらって、お互いに連絡を取りながら、なるべく動きが少ない地から奇襲掛けられそうな土地に赴く」

 一日じゃ無理かもしれないけど、二人で動く分、動きはとても小さい。
 俺はチャリで行動するつもりですから、三日あればどうにか終わると思います。その都度、その都度。皆に連絡を入れますから、それに添って策を考えてもらえれば、と思います。

 ……これでどうでしょう?


 俺の提案に真っ向から反対したのは、なんと蓮さんだった。
 まさか彼から反対を食らうとは思わなかったけど、彼の言い分はこうだった。

 
「ケイ、二人で動くってのには賛同できない。二人だけで動くってことは、それだけケイ達の危険が大じゃないか。案には賛同するけど、人数は増やした方が良い。俺も同行するから」


 蓮さんが俺の前に出て、自分も一緒に土地に赴くと自己申告してくるけど、やんわり俺は却下した。
 俺と蓮さんじゃ目立ってしまう。なにせ、向こうの狙いの一つとして蓮さんが入っているんだ。顔見知りでない俺やタコ沢の方が動きやすいだろう。それにハジメも言ったように、この行動は少人数規模であればある方がいい。
 
 「でもさ」不服な顔を作る蓮さんを制し、それでいこうと断を下したのは我等がリーダー。
 
 こうしている間にも、楠本の奇襲は拡大していく一方だ。
 いや、もっとえげつないことを目論んでいるかもしれない。復讐心を滾らせている人間のやる行為なんて、正当でもなんでもないだろう。決着の時間は一分一秒でも惜しい。
 
 「ただし」俺も二人だけってのには賛成できない、ヨウは二人だけの行動は危険過ぎると反対の念もみせた。最低でも各々二人組で動いた方がいい。特に俺は手腕がない。
 何かあった場合、自己防衛が働いたとしても負傷を追う確率は大きい。
 
 「俺がついて行く」いつもどおりチャリの後ろに乗るからと申し出てくるヨウに、今度は俺がダメだと反対をした。 
 
 ヨウは俺達のリーダーだ。んでもって今は二チームのリーダーだ。
 浅倉さんが不在の今、奇襲返しを決行できる準備が整うまで、リーダーには危険な行為をして欲しくない。ヨウまでヤられたら、誰がこのチームを引っ張るんだよ。副リーダー達だけじゃ重荷だぞ。




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