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02-09


  

「まあ、俺もなんですけど地味の大半は上辺真面目が多いですよ。教師にどやされるのが嫌だから、取り敢えず従順になっておこうって奴ばっか。俺もそうでしたしね。ハジメそんな感じだろ?」

「ご尤も。中には本当に真面目で正義感の強い奴もいたけど、僕はそんなダルイ感情持ってなかったから。特に親が煩かったし、反発からこれに成り下がったわけですよはい。ワタルはあれでしょ? ノリでしょ?」

「んー、アキラが髪染めしてみたいって言ったから、便乗したカンジだっぴょーん」

 
 元親友の実名を出して、ワタルさんはこれいった理由はないと白状。各々なんだな、悪になる理由なんて。

 「で?」なんでヨウちゃんは、あんなに燃えてるわけ? 俺にワルデビューの真実を問う。
 傍から見ても力が入ってたように見えたらしい。だよな、俺自身も驚いたもん。「ちょっと担任に目を付けられて」俺は苦笑を交えて、ゆっくりと煙草を吸った。先端がどんどん削れていく。
 
「噂が立ったことで、担任が俺に目を付けた。だからあいつ、俺の代わりに怒ってくれてるんだと思います。あいつ、誰よりも仲間意識高いから。それに俺も悪いんですよ、ちっちゃなことで気にしていたから…、余計ヨウの奴、気に掛けてくれていて。まあ、どんなワルデビューさせてくれるかは不安ですけど」
 
 ふーっ、吐き出す真っ白な紫煙が室内で溶け消えていく。
 「なあるへそ」だから燃えているわけか。そりゃ燃えるわけだ。笑声を漏らすワタルさんは、オレンジの長髪をゴムで縛りながらワタルさんは言葉を続ける。


「ケイちゃーんがわりかしずーっと気にしてるから、ヨウちゃーんがとうとう動いたわけか。フッと消えそうだって思ったんだろうねんぴ」



 ワタルさんが意味深に呟く。目を削いじまった。
 なんで俺が消える? 教室で空気になることは得意でも、さすがに透明人間になる能力は持ち合わせていないんですけど。取り敢えず、チームを抜ける予定もないし。台詞の意味を尋ねれば、上手くは説明はできないんだけど、と縛った髪を触りながら説明を重ねた。

「ハジメちゃんも一時、感じていたんだけどさ。いっきなり消えそうなんだよんさま。理由もなく、ある日突然、シュバババッて。なーんって言えばいいのかな、些細なことを気にして姿を現さなくなるってヤツ? だからヨウちゃーん、燃えてるのかも。仲間消えるってヨウちゃーんにとって、超苦痛じゃん? ねえ、ハジメちゃーん」
 
 「一度、チームを離脱した僕に振られても…」気まずそうに笑うハジメは、俺に視線を流して笑みを深くする。
 

「詳しいことは知らないけど、ケイがもしチームと自分の存在意義に思うことがあって少しでも居心地が悪いと思ったなら、ヨウは怖じを抱いたんだと思う」


 仲間が消える、それはヨウにとって最大の弱点でありトラウマだ。
 
 それを作ってしまったのは誰でもない僕のせいだけどさ…、特にケイはヨウの舎弟。舎兄として動きたくなったんだと思うよ。ああ見えても、ヨウは舎兄としてかなり成長したから、舎弟が思い悩んでいるのを見て居ても立ってもいられなくなったんだと思う。
 なんだかんだ言ってもヨウにとって一番の理解者はケイだしね。そりゃあ消えられたら困るだろうさ。ヨウ自身にとっても、チームにとっても。

 立ち位置的に言えば、そうだね、クサく指摘するとヨウとケイは無二の相棒って感じだろうからね。ケイ自身もヨウが消えたら困るだろ? それと一緒さ。
 ケイ、もしかして間接的にチームを抜けるとか考えたんじゃないかい? どっちにしろ、君が抜けられたら困るさ。ヨウも僕等も、調子ノリがいないとツマンナイしね。ココロなんて泣くんじゃないかい?

 ……、ガチな話、抜けるなんて思ってないよね? だったら全力で止めるけど。
 

「ケイって僕に似て生真面目なところがあるから、ちょっと心配なんだけど」





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