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14-08


 
 「テメェ等遊んでるだろ!」ネタ扱いにされているヨウに怒鳴られ、俺達はごめんごめんと片手を挙げて謝罪した。

 不機嫌に鼻を鳴らすヨウは、荒々しく携帯を閉じてネタ扱いにされたことに文句垂れている。
 これでもツイッターの方は真面目な方だったと思うんだけどな。矢島の情報を真面目に流した結果、ヨウと喧嘩していた…みたいな? いつものように矢島がヨウをブサイクでオツムの小さい不良だって罵り、ヨウがそれにカッチーンだったらツイッターに流しました。はい。
 ……すんまそ。ちょっと遊んでいました。今頃シズ達は携帯画面に向かって呆れ果てている頃だろう。
 

「それにしてもツイッターでストーキングするなんて。よく思いついたッスね、ハジメさん」
 

 携帯の十字キーを押しながら、キヨタが感心を露にする。
 
 それは俺も同意見だ。
 現代っ子ならではのストーキングって言うから、どんなものなのかなぁって思ってはいたけど、まさか五十嵐戦の時に世話になったツイッターを使うなんて。
 
 ハジメ曰く、向こうの策士に対抗するには情報化社会の先端を随時使用することなんだって。水面下で蠢いている里見達なら知名度に餓えている不良達とコンタクトを取る他に、きっと『Twitter』や『Facebook』や『mixi』を使用しているんじゃないかと推理したらしい。
 近所周辺の不良情報を逸早く察知しては、奴等を利用しているんだ。俺や健太は身を持って奴等の長けた情報網の怖さを知ったわけだし、これくらいの策は取らないといけない。ハジメはそう思ったようだ。

 目には目を、歯に歯を、情報には情報を。
 相手の手の内が見えない以上は此方が柔軟に、尚且つ臨機応変に対応していかないといけない。荒川チームの喧嘩スタイルとしては不慣れな点ばっかだけど、今は臨機応変に、な。
 にしてもツイッターって慣れないな。流行っている『Facebook』や『mixi』でさえ、めんどくさがりの俺にはチンプンカンプンなのにツイッターもイマイチ…。
 
 俺は自分の携帯のディスプレイを覗き込む。
 開かれたツイッター画面は更新され、新しい呟きが書き込まれた。
 

>>@toXXXX● 五木
昨日、繁華街に赴いたらしい。会話が聞こえた。
(現在)


 なるほどなるほど。繁華街にね。
 
 うーん、まさしく会話を事細かにチェックしている俺達はストーカーだよな。始終見張るってのも、気分的にはあまり宜しくない。
 個人情報を流して大丈夫かって聞かれたら、俺等の間だけでフォローし合っているし、鍵も掛けているから大丈夫と思う。俺達以外ではフォローし合わないってルールだしな。もし別の人とツイッターをしたかったら、新しくアカウントを取ってもらわないと。
 矢島って表記じゃなくて『Y』にするのも手だよな、万が一を考えて。そこまで念を入れることもないかもしれないけど……、俺達の個人情報への徹底ぶりは凄いぞ。

 まずツイッターはブックマークしない。
 メールにアドレスを保存してそこから飛ぶようにする。メールの保存場所は下書きボックス。簡単ログインもなるべく避けて、毎度IDとパスワードを入力している。もしも里見達に携帯を奪われたら、アカウントを変えないといけなくなるってのが主な理由だ。
 “不良狩り”に関する連絡はブログを通す規則だし、チーム内では“不良狩り”が解決するまでメールじゃなくて電話を使用するとなっている。
 
 連絡簿に使っているブログでもそうだけど、俺達は携帯でスッゲェ痛い目に遭っている。
 今まで荒川チームは真正面からの喧嘩。不意打ちからの喧嘩。二種類経験しているけど、どちらも頭脳戦というよりは肉体戦寄りだった。日賀野達と対峙した時だって奇襲はあれど、情報化社会に則(のっと)った成りすまし戦法を取られたことがない。
 
 だからこそ事細かな注意に気を払っている。
 
 携帯で情報を得る奴等って分かっているしな。
 里見は日賀野が懸念するほどの策士だ。卑怯を得意としている日賀野の上を行く狡賢さに、キャツも心底腹立っていると健太が教えてくれたっけ。
 俺からしてみればただのアメリカン気取りな中二病野郎だけどな! だってあいつは瀕死状態の俺に英語で話し掛けるというナンセンスなことを以下省略。




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あきゅろす。
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