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11-19


 

 ◇


【協定集会
場所:倉庫(荒川組たむろ場)】

 
 『B.B.B』
 
 
 隣町の流通倉庫跡地をたむろ場にしている新手のチーム。

 三つの札付き小規模人不良グループが合併してできた大規模なチーム組織。一グループに15から20人ほどいたグループが三つに合併したため、総計人数は約60程度。トップは各々グループを纏め上げていた臼井、風間、和白が務めている。
 チーム名として小洒落た『B.B.B』と名がついている。略称だろうが正式名を知る気などさらさらない。これからそのチームを潰しに掛かるのだから。

 札付きとあって警察沙汰になった不良も多く、わりかし手腕も上の中辺りがごろごろいるそうな。
 集団リンチはお手の物であり、下っ端の弱者は敵方の動きを見るため捨て駒に扱われることが多いらしい。なんとも愉快なチームである。
 協調性があるというよりは、上が下を支配しているピラミッド組織の関係が成り立っているのだろう。ワタルを襲った事件も下っ端達を捨て駒にして、此方の動きを観察していたというところか。胸糞悪い話である。
 
 かの有名な荒川チームの要人物を討ち取り、荒川を打ち負かしたということで隣町の不良の間では恐れられているチームになりつつあるらしい。
 
 まったくもって面白い話だ。一人を討ち取ったから天狗になる。
 しかも討ち取った相手は手腕のない非力不良のジミニャーノ。随分舎弟も過大評価されたものだ。確かに舎弟がいないことで荒川の気持ちはすこぶる動揺した。したと認めよう。彼がいないことで困ることも多々。仲間を一時的に失った恐怖と挫折感は拭えず、彼のピンチに間に合わなかった無念も払拭できない。

 今だって思う。
 今すぐにでも舎弟が戻ってきてくれたら、どんなに心強いだろう…と。
 

(チームになって初めてだな。ケイなしで喧嘩しに行くのは)
 

 いつもだったらチャリや土地戦術を喧嘩に組み込むところなのだが、今回はチャリはなし。土地勘はキヨタが自分では力不足だと告げたため、それもなし。

 ではどうするか? 荒川チームお得意のごり押し戦法で行くっきゃない。つまり強行突破である。
 
 一つのチームでは良くて辛勝だろう。だからヨウは協定を結んでいる浅倉に手を貸してくれるよう頼んだ。
 二言返事で承諾してくれた浅倉チームだが、問題が一つ。人数的にまだ此方が劣勢なのだ。ただでさえ荒川チームには非戦闘員が四人、うち一人は負傷を追って離脱。荒川チームで戦える輩は男女合わせて七人。浅倉チームと合わせても約25前後、厳しいものである。
 今まで人数を補うためにチャリや土地を使っていたのだが、今回ばかりはそれもできない。

「率先して手腕のある奴等が出るしかねぇってことか」

 ごり押し戦法に舌を鳴らすヨウ。同調する浅倉はそれしかねぇよ、と相槌を打つ。

「特に敵の動きを読める奴を率先させんと、人数は減らせなかとです。こっちでいえば蓮が妥当とよ」

 向こうの副リーダーが意見する。
 九州弁訛りに一々ツッコむべきところではないのだろう。

 涼の言葉に分かっているとヨウは眉根を寄せた。こっちでいえば合気道をしていたキヨタを率先して動かすべきなのだろう。
 けれどあまり仲間を危険に晒したくもない。舎弟のように大きな傷を負って一時離脱されたくはないのだ。嗚呼、しかしこの喧嘩だけは絶対に負けるわけにはいかないのだ、絶対に。約束したのだ。舎弟のために仇を取ってくると。
 



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