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08-02



 「制服は目立つな」健太は苦笑いを零し、皆、おしゃまな格好で決めちゃってと肩を竦める。

 どいつもこいつも服装がプチ合コンみたいだと皮肉を呟き、「久しぶりだな」俺に視線を流してニッと笑ってきた。「ほんとにな」久しぶりだ、健太にニッと笑みを返してハイタッチ。

 田山田(たやまだ)の復活じゃないかと俺が言えば、山田山(やまださん)だってと健太が反論。俺達は揃って笑声を上げた。


 本当に久しぶりだ、健太と会うのは。


 進級してからまだ一度もお互いに会っていなかったんじゃなかったか? メールのやり取りはしていたけど直接会うのはマジで久しい。
 荒川チームの宿敵とも言える日賀野チームに属している健太とは一年の時、絶交宣言だの、喧嘩だの、ガチの殴り合いだの、本気も本気でぶつかった仲だ。あの頃を思い出すとこうやって一緒に同窓会に赴けるなんて夢のよう。
 でもあの日々があったから、俺は中学時代以上に健太と仲良くなったと思っている。なんたって拳で語り合った仲なんだからな! ジミニャーノのくせに、拳だぜ拳! 随分とカッコつけたカッケー友情だと思わないか?

 きっと健太も同じ気持ちなんだと思う。
 ダークブラウンに染めた髪を風に靡かせ、あどけなく笑う健太は彼女とは上手くいってるのか? と早速悪ノリをかまして肘で胸を小突いてきた。
 リア充は爆発しなきゃなんねぇんだぞ、と物申す健太に、お友達が爆発していいのかよと俺は健太にノリを返した。

 んでもってまた笑い合う。やっぱ健太は俺の大事な友達だ。こうして会話するだけでめっちゃ楽しいもん。


「聞いてるぞ、圭太。先日、まーた喧嘩したそうじゃないか。真杉だっけ? 喧嘩したの。その前は楠本だって? お前等も喧嘩っ早いねぇ」

 
 先日の情報をもう入手している健太は怖いな。
 多分、情報通の魚住伝いから入手したんだろう。
 「まあな」各々あんま味のいい喧嘩じゃなかったけどさ、俺は吐息をつき、後でゆっくり聞かせてやると肩を竦める。「お前は最近どうだ?」チームについて聞くと、健太は意味深に溜息をついて俺と同じ返答をしてきた。なんか味の悪い日常を送っているみたいだな。後で聞いてやろう。
 
「それにしても俺達、他の連中と絡まないよな」

 公園にクラスメートが集っているってのに、俺、基本健太としか絡んでいない。なんのための同窓会なんだか。

「圭太。絡んでくるか? おれはパスしとくぞ。なんか気乗りしない」

 と、健太は気だるくのたまう。
 うーん、ぶっちゃけ俺も同じ気持ちだ。まあ皆と絡みたくないわけじゃないけど、微妙に距離感を感じる。居心地が悪いっつーかなんっつーか。
 きっと俺達が居心地悪いって思っているように、周囲も「あいつ等変わったんじゃね?」って思ったのかも。挨拶はするけど、あんまり話し掛けられない。とはいえ、中学時代は全然目立つ人間じゃなかったから、特定の奴としか接点ないんだけどさ。


「こんなことなら圭太個人とおデートすりゃ良かったぜ。トンズラしたい」

「まだ来て10分だぞ健太さん。まったく最近の若者は忍耐力がなくて困る」


 「我慢は体に悪いんですよ?」それに現代の若人は苦労ばっかじゃないですか。就職難に不景気、団塊世代からは軟弱だといわれ、中年の大人達から侮蔑される。今の中高大生は苦労すると健太は鼻を鳴らす。
 我慢していないようで多大な我慢を強いられている。不満を漏らす健太に同調する俺は、不良への忍耐力は計り知れないよなとオーバーリアクションを取った。
 まさしくそれだと健太はがっくり肩を落として、ブレザーのポケットに手を突っ込む。




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