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中学同窓会




「―――…なあ、やっぱ来ない方が良かったんじゃないか。ノリでOKしちまったけど、おれはすこぶる後悔しているぞ。圭太」

「やっぱり? 俺も早々に帰りたくなって来たよ。お前が行くって言うから、大丈夫だろうって思ったけどやっぱ帰りたいよ。健太」
 
 
 「おれの責任かよ」「うん、お前のせい」「酷っでぇの」「ごーめんね」プチノリを交わして俺と健太は重々しく溜息をついた。
 
 それはある日の日曜日、午前11時過ぎのこと。
 俺は久しぶりに顔を合わせた中学時代の旧友・山田健太と公園を訪れていた。個々人で遊ぶために公園を訪れたわけではなく、集合場所の指定地が公園だったからそこまで赴いただけ。公園そのものには用なんてない。

 俺は騒がしい公園風景を見つめる。

 休日であろうとも、さほど賑わいを見せない公園が一変。今日はあちらこちらから人の声が上がっている。
 面を見る限り、成人したとは思えない未成年者ばかり。ケバく化粧をしている女子もいれば、可愛らしくお洒落している女子もいる。やや髪が染まった男子もいれば、ちーっとも変わっていない男子もちらほら。
 見覚えのある面子に俺は小さく溜息をついた。こいつ等、全員俺の同級生だ。しかも三年の時のクラスメート。
 
 実は俺と健太、何を血迷ったのか中学の同窓会に参加しているんだ。現在進行形で。
 なんで同窓会なんぞという気だるい行事に参加しようと思ったか。多分気まぐれだ。メールが回ってきたんだ。中学時代の面子で同窓会を開くから、一緒に昼食なんぞどうですか? って。
 
 あんま気乗りはしなかったけど、中学時代に一番仲が良かった健太にメールしたら、一応行ってみようかなって返信が来て。
 じゃあ俺も健太が行くなら行ってみようと足を運んでは見たものの…、嗚呼、来るんじゃなかった! 早々と後悔が胸を占めている真っ最中なのでありまする。


 まあ、純粋に健太には会いたかったんだし、こいつには会えて良かったんだけどさ。
 
 ちなみに最初こそ健太が行こうとも欠席する選択肢を取っていたりする。
 今、我が家にはシズが居候しているんだ。シズが大変な目に遭っているのに、なんか能天気に同窓会になんて行く気分にはなれなかった。
 けどシズ曰く、気遣ってくれる方が心苦しいらしい。優しいことに浩介と遊んでくれるって言ってくれたから、俺はシズに土産を買ってくると笑ってお出掛け。土産に反応したシズの奴は、しっかりと「コンビニの期間限定チョコレートスフレな」って要求してきたから、帰り際に買って帰らないと。ったく、シズの奴、たっかいもの強請ってきてからにもう。
 
 で、だ。

 健太と集合場所を訪れたわけなんだけど、久々に会う中学の面子を見た瞬間、自分達って場違いなんじゃないかと思ったんだよ。
 身なりやケバさ、お洒落度は差し置いて中学時代の連中ってどいつもこいつも真面目そうに見えるんだよ。俺と健太の目からしてみれば! つるんでいる連中に問題があるのかもしれないけど、妙に居心地が悪い!
 
 しかも俺と健太は制服だという。
 だってしょうがないじゃないか。私服で来るの、ダルかったんだもん(健太も同じ気持ちだったんだろうな)。ヨウ達と遊ぶ時も、わりかし制服が多いからこれでいっかって思ったんだけど、んー、みーんな私服だなぁ。KYな服装で来た感ムンムンなんだぜ。気にしないようにするけどさ。今更着替えに家に帰ろうとか思わないぞ。めんどくせぇ!
 



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